日本十進分類法(NDC)のオープンデータ化に向けて

 図書館の本は、分類番号順に本棚に整理されています。このとき使われる分類規則、日本十進分類法(NDC)は、国内の図書館の事実上の標準となっています。

しかし、二次利用やデータ公開が公益社団法人である日本図書館協会により大幅に制限されており、検索精度の向上や様々な分野での図書館データベース活用の大きな障害となっています。また、カーリルのような新しい事業者には多額のライセンス料とデータの再配布を制限する契約を要求する一方、従来からNDCを活用している事業者はライセンス料を一切負担していません。このような運用は公益社団法人としてふさわしいものではありません。

NDCは公共性の極めて高いプロトコルであり、だれでも、いつでも活用できるようにするべきです。これまでカーリルでは日本図書館協会に対して再三にわたりオープンデータ化を要請してまいりましたが未だ実現しておりません。現在、図書館関係者有志によりNDCのオープンデータ化に向けた署名活動が始まっており、当社もこれを全面的に支持します。

2015年9月21日
株式会社カーリル
代表取締役 吉本龍司
署名とりまとめ窓口
〒305-8550 茨城県つくば市 春日1-2
   筑波大学図書館情報メディア系 逸村裕研究室内
   NDCオープン化署名取りまとめ窓口

NDCは有償でライセンスされているのですか? (2015年9月22日追記)

日本図書館協会はNDCのデジタルデータをライセンス販売しています。これをMRDFといいます。NDC第9版のデジタルデータ版であるMRDF9は図書館40万円(税別)、企業100万円(税別)とされています。カーリルでは、契約書のひな型の提供の受け、契約に向けて検討しましたが、図書館と企業の基準や、許諾範囲などに曖昧な点が多く契約締結には至っておりません。

多くの図書館のウェブサイトでNDCを活用したサービスが公開されていますが? (2015年9月22日追記)

ライセンス契約を締結したうえで、別途日本図書館協会が許諾した場合は掲載することができるとされています。そのため基本的には各図書館がライセンス料を負担した上で、別途許諾を受けていると考えられます。例えば市川市立図書館や、高知県立図書館京都府立図書館など一部の図書館ではNDCを活用した絞り込み検索が可能です。しかし一般的に図書館に対しては「第三次区分表」までしかウェブに掲載することはできないとの見解が示されており、これにより多くの図書館システムでは分類検索の選択肢が第三次区分表までしか選択支援機能をサポートしていません。
また、ライセンス契約を締結していない図書館はOPACの書誌ページ等に分類記号は表示できても、それがとういう意味であるかを示すことができません。

ライセンス契約し、許諾を受ければいいのでは? (2015年9月22日追記)

カーリルが内部的に利用するだけではあればその通りです。
今後、各図書館が自らの所蔵データや書誌データ、あるいは配架図などのデータをオープンデータとして活用する際、これらのデータと密接に関わるNDCが必須となります。しかしNDCのライセンス契約は利用者ごとに締結しなければならないため、図書館の公開するオープンデータの活用が大幅に制限されることになります。これらのオープンデータは、もちろんカーリルだけではなく個人や法人、営利目的や非営利目的にかかわらず自由に利用できるようにするべきです。なお2014年10月時点で、”MRDF9のライセンス契約を締結した民間企業はこれまでにない”との見解を日本図書館協会より伺っております。

契約書案とはどういうものですか? (2015年10月16日追記)

日本図書館協会により2014年11月に提供いただいた契約書案では、適用範囲がNDC・MRDF9となっており、二次著作物は有償では頒布できない。無償の場合は承認が必要である旨の記述がございます。

このため、オープンデータ化の要望と平行して、ライセンス契約をした上で、カーリルが無償で提供する各種ウェブサービスにおいてNDCの利用する場合の条件についても問い合わせておりますが、問い合わせから1年近くたった現在でも可否の回答がございません。

図書館でNDCに基づき本を配置するのにライセンスが必要ですか? (2015年10月16日追記

ライセンス販売されているのはあくまでMRDFと呼ばれるデジタルデータです。NDCにより分類された書誌などのデータはこの範囲ではありません。そのため、図書館での本をNDCに基づき配置することには一切制限はありません。NDCを解釈するためのデータ集合としてNDCを扱う場合に、ライセンスの不明確さが問題となります。

一部記載内容の訂正について(2015/9/22 17:40)
ブログ発表時、日本図書館協会を公益財団法人と記載しておりましたが、公益社団法人の誤りでした。現在は該当箇所を訂正しております。

お気に入り図書館が10件までに拡大!大幅な高速化を実現しました

この数日、カーリルは、全国の図書館から所蔵情報をリアルタイムに収集するスクレイピングエンジンの大規模なアップデートに取り組んできました。これに伴い、これまで要望が多かったお気に入り図書館の拡大が実現しました。より便利で快適になったカーリルをぜひ体験してみてください。

→お気に入り図書館の設定

前回のアップデートは2013年4月で、大規模なリニューアルは2年ぶりとなります。前回のアップデート時と比べカーリルのアクセス数は2倍以上となり、アプリ連携によるAPIの利用も大幅に増加しました。増加するアクセス数に対応しながら、より快適なサービスを提供するためには、新しい発想が必要でした。

新しいスクレイピングエンジンは様々な種類のアクセスに対して最適化されたスケジューリングを提供します。図書館システムへの過大な負荷を避けるため、アクセス集中時には誰かにお待ちいただくことになります。これが”遅い”の原因のひとつでした。

例えば都道府県単位の検索の場合は、所蔵している確率が高い図書館から先に情報を提供し、残りはゆっくり処理します。カーリルの検索結果では10冊の本が表示されますが、1冊目の本は10冊目に比べて再優先で処理します。
同じ図書館にアクセスが集中した場合でも新たに導入したアダプティブ(状況に応じた)スケジューリングにより、夕方やお昼時などアクセス集中時の速度が大幅に改善します。

図書館APIの応答速度改善にも取り組みました。APIの応答速度は従来の平均3倍となりました。これらの改善はカーリルだけではなくAPIを利用したスマートフォンアプリやウェブサービスなどにも適用されています。

※現在提供しているAPIの仕様変更はありません
※切り替えに伴うサービスの停止はありません

図書館向けICタグ対応タブレット端末を開発しました

カーリルのものづくりプロジェクト、「カーリルラボ」では、図書館に役立つ最新技術の開発を推進しています。

株式会社カーリル(岐阜県中津川市)と、バルブ・バルブコアを主力とする自動車部品メーカー、太平洋工業株式会社(岐阜県大垣市)及びその子会社のピーアイシステム株式会社は、図書館向けICタグ対応タブレット端末を共同開発しました。太平洋工業が開発したNFC拡張アタッチメントの技術を図書館向けに応用し、カーリルが提供する各種図書館向けサービスと連携します。

図書館向けICタグは、主に図書館の業務支援や盗難対策として導入が進んでいます。しかし専用機器が高額であり、ICタグのデータ構造が標準化されていないため、コスト面ばかりでなく、サービス間の連携がなかなか進まないという問題がありました。

今回、ICタグのアンテナ面を図書館で使いやすい形状に変換する「NFC拡張アタッチメント」を開発したことにより、汎用的なタブレット端末やスマートフォン(NXP社製チップを搭載したAndroidなど)を据置型の端末として活用することができるようになります。カーリルでは、日本図書館協会フォーマットなど図書館で使われているICタグのデータ構造を広くサポートしたSDKの開発を進めており、カーリルの提供する各種サービスはもとより、他社の開発した図書館システムとシームレスに連携する仕組みを提供します。同技術は、ISO15693及びNFC規格に準拠し、ICタグの読み込みだけではなく、書き込みやAFIの書き換えもサポートしていますので、書誌情報と連携したサイネージとして活用できるほか、貸出・返却処理とも連携可能です。

なお、カーリルでは、このデバイスの試作品をパシフィコ横浜で開催される図書館総合展(2014年11月5日~7日)で展示します。

共同保存図書館・多摩との共同研究に取り組みます

カーリルとNPO法人 共同保存図書館・多摩(多摩デポ)は10月29日、共同研究の協定を締結しました。

多摩デポでは公立図書館が処分する本の中から、多摩地域で1冊だけは残して保存し、地域の図書館を通じて提供する仕組みづくりをすすめています。そのためには、どの本が最後の一冊なのかを調査したり、実態を把握する必要がありました。

しかし、多摩地区にある本は膨大なため、手作業による調査は難しい状況でした。今後、こういった調査にカーリルのデータを活用するなど、様々な共同研究を進めていきます。
多摩デポはとてもオープンに組織が運営されており、この協定に至った経緯についても議事録がすべて公開されています。カーリルでも成果を積極的に公開していきたいと考えています。

多摩デポ理事長 座間さんとカーリルの吉本/協定の締結

カーリルが図書館・電子書籍サービスとの連携を開始しました

公立図書館での電子書籍の導入が少しずつ進んでいます。現在のところ、多くの図書館では、紙の本を扱う図書館システムとは別にシステムが運用されており、本を紐付けるISBNなどの書誌情報の整備も進んでいないため、検索しにくい状況でした。

カーリルでは、これらのデータを独自に集約し、使いやすい形のデータを整備する取り組みを開始しました。また、このデータを活用した電子書籍サービスとの連携を開始しました。

ユーザーは、これまでとまったく同じ使い方でご利用いただくことができ、該当する本が電子書籍として所蔵されている場合は、「蔵書あり」と表示されます。「予約する」ボタンから電子書籍サービスに簡単にアクセスすることができます。
今回の連携では、ISBNがある本の電子版のみの対応となりますが、今後ISBNのない本についても対応方法を検討していきます。

↑ 電子書籍が該当した場合の表示例

また、カーリルの提供している図書館APIも標準で対応するため、500を超えるカーリルAPI連携アプリやブラウザ拡張ツールも電子書籍に対応することとなります。

現在電子書籍を提供している図書館は29館といわれていますが、現在は、そのうちの22館に対応しています。今後は対応図書館の拡大を目指すとともに、より低コストに情報の流通性を高める方法について、電子図書館サービスの関連事業者との調整を進めていきます。

公立図書館で提供されている電子書籍

整備したデータをもとに統計データを作成しました。調査対象となったすべての図書館をあわせると、オールアバウトによる記事コンテンツが全体の40パーセントを超えており、図書館によってはオールアバウト以外のタイトルが1パーセント以下となる例もありました。また、青空文庫やグーテンベルク21など著作権切れの書籍のデジタル版や、著作権切れ書籍を底本とした翻訳やオーディオブックが多く所蔵されていることがわかりました。一方で、それ以外のコンテンツの提供・導入についてはなかなか進んでいない実態も分かってきました。

商用コンテンツ(便宜上、地域資料・オールアバウト・グーテンベルク21・青空文庫を除いたものとして定義)では、86パーセントのタイトルでISBNを持つ底本(元となった紙の本か雑誌)が存在していました。8113タイトル中、7010タイトルはISBNが紐付いたことになります。これらのタイトルの中には、新しい版があるにもかかわらず、古い版が所蔵されているケースも多く見られました。

ISBNに紐付かない1103タイトルのうち、512タイトルは、雑誌やオーディオブックなど、もともとISBNを持たないもののAmazon等では従来より流通しているコンテンツでした。さらに残りの591件は、雑誌記事を分割して電子書籍化したもの、市場に流通していないオーディオブック(アルク・パンローリングなど)やBOINTECH社による3D図鑑などがありました。

昨今導入された電子書籍サービスでは著作権処理が容易なコンテンツが、いわば「抱き合わせ」の状態で導入されています。このような実態を無視して、導入図書館数やコンテンツ数のみの評価を続けた場合、一般ユーザーの信頼を損ないかねません。また、DRMの実施主体や契約条件など不明確な点も多く、最終的なユーザー(市民)が置き去りとなっているのではないかと懸念されます。図書館での電子書籍提供は、解決するべき課題や合意形成も多く存在しています。実態を正確に把握した上で議論を進められるよう、本プロジェクトの統計資料を広くオープンデータとして公開することにしました。

調査結果を開く (Google Docs) CC-BY

のべ書誌数ベースの出版社 上位30 (詳しくはこちら)

出版社名 書誌数
株式会社オールアバウト 18000
青空文庫 5000
グーテンベルク21 4103
平凡社 1071
PHP研究所 973
法研 769
すばる舎 504
パンローリング 390
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 365
アルク 291
学研 287
東京リーガルマインド 271
インプレスジャパン 241
東洋経済新報社 226
KADOKAWA / エンターブレイン 179
KADOKAWA / メディアファクトリー 156
研究社 137
Macmillan 135
KADOKAWA / 中経出版 132
株式会社 銀の鈴社 119
丸善 108
朝倉書店 107
岩崎書店 106
ヤック企画 106
KADOKAWA / エンターブレインDMG 88
東京電機大出版局 80
銀の鈴社 79
アメンド(創己塾出版) 69
BOINTECH 62

対応図書館 (2014年10月26日現在)

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