「カーリル 学校図書館支援プログラム」への名称変更と無償提供の継続が決定しました

カーリルでは、2020年4月から「カーリル COVID-19 学校図書館支援プログラム」を開始しました。このプログラムは、学校図書館などを対象にインターネットからの蔵書検索と、予約受付のための簡易的なシステムを無償提供するもので、これまでに1,000館以上の図書館に導入されています。

COVID-19による一斉休校や、その後の開館時間短縮などに対応するための対策としてスタートしましたが、GIGAスクール構想に基づくタブレットやノートパソコンの配布の推進に伴い、活用シーンはさらに広がっており、利用は増加傾向にあります。

このため、多くの図書館からプログラムを継続してほしいとのご要望をいただいておりました。また、感染収束後の継続に関するお問い合わせが増加しております。この取り組みを通して学校図書館がインターネット上に検索インフラを持つことが標準化してきた点や、それが図書館同士の連携を促進するきっかけとなっている点など、このプログラムはカーリルにとっても重要な取り組みのひとつです。

このたびカーリルでは、プログラム名称から「COVID-19」をなくした「カーリル 学校図書館支援プログラム」に改称するとともに、専用のサポートサイトを開設し、さらに多くの図書館でご活用いただける体制を整備します。

あわせて、これまで暫定的に設定していた無償提供期間を撤廃し、カーリルの正式サービスの一部として継続的に無償提供することを決定しました。

学校図書館支援プログラムは、学校図書館をメインターゲットとして想定しているものの、公民館図書室や公立図書館、研究機関や大学、専門図書館、美術館や博物館の資料室、コミュニティ図書室など多様な種類の図書館でご活用いただいております。今後もその方針は変わりません。

今後は、皆様から頂いたご要望なども参考にしながら、「カーリル学校図書館支援プログラム」のさらなる拡充に取り組みます。

変更日
2022年9月5日

プログラム名称の変更
変更前「カーリル COVID-19 学校図書館支援プログラム」
→ 変更後「カーリル 学校図書館支援プログラム」

提供期間に関する変更
変更前「2024年3月末までは安定的に提供いたします。プログラムを終了する場合には少なくとも12か月前には告知します」
→ 変更後「このプログラムはカーリルの正式サービスとして永続的に無償提供されます。また、仮に何らかの事情によりプログラムを終了する場合には、混乱が生じないように、少なくとも24か月前には告知します。」

カーリル Unitrad API」の付帯サービスとして設定しました(システムインテグレーターの方へ)
カーリルが図書館向けに提供している業務用の横断検索API「カーリル Unitrad API」の付帯サービスとして「カーリル 学校図書館支援プログラム」の全機能を提供します。このプランは、自治体等が外部調達する図書館情報システムの構成要件の一部として「カーリル 学校図書館支援プログラム」を組み込む場合にもご活用いただけます。サービス提供にあたり、契約書などを伴うサービスの継続性に関するコミットメントが必要な場合はお問い合わせください。原則として、システム全体を受注した事業者(システムインテグレーター)と連携してサービスを提供します。

  • 現在ご提供中の検索ページには、しばらくの間「COVID-19 学校図書館支援プログラム」が表示され続ける可能性がありますが、順次新しい名称に変更される予定です
  • 各図書館の利用案内などで「COVID-19 学校図書館支援プログラム」の名称をご利用の場合でも、すぐに変更する必要はありません。
  • 名称変更に伴いプログラムの内容やプライバシーポリシーについては一切の変更はございません。

カーリル学校図書館支援プログラム(サポートサイト)

カーリルToolBox : バーコード連番印刷をリリースしました

学校図書館支援プログラムは、学校図書館だけではなく、公民館図書室や専門図書館などでも多く導入いただいています。カーリルでは引き続きサービスの拡充を進めており、継続的に申し込みいただけます。

多くの学校や図書館で活用いただいている一方で、検索サービスを導入したくても図書データが未整備の図書館が多数あることが分かりました。将来的に図書館システムの導入を検討している場合、複本(図書館用語で同じ本が複数ある場合)に対応するため本にバーコードを貼られていると便利です。しかし、バーコードの印刷機能は一般的に図書館システムを導入しないと使うことができないため、図書館システムを導入しないと着手できない状況がありました。(実際には、いろいろな方法でバーコードを印刷することができますが手順が複雑です)

この問題を解決するため、「カーリルToolBox : バーコード連番印刷」を開発しました。このサービスはブラウザだけで動作するため、インターネットにつながる環境とプリンタがあれば、蔵書管理のためのバーコードラベルを簡単に印刷することができます。図書館だけではなく、自宅や会社で図書館と同じようにデータ整備をしてみたい方もご活用いただけます。

バーコード連番印刷の画面

使いかた

カーリルでは現在、オフィスにある本にバーコードを貼り付ける作業を進めています。実際にこの印刷ツールを使ってカーリルオフィスの本にバーコードを貼るまでの手順を見てみたいと思います。

準備したもの

  • バーコードリーダー
    今回は、 BC-BR1000Uを使いました。
    バーコード印刷後に実際に読めるかテストすると安心です
  • ラベル用紙
  • プリンタ
  • ラベルキーパー

ラベル用紙を選ぶ

ラベルによる印刷サイズの比較

主要なラベル用紙に対応していますが、要望があればお知らせください。 今回は、65面の再剥離ラベルを利用しました。このラベルは簡単に剥がすことができるので、自宅などでは便利です。図書館では強粘着ラベルが多く使われます。

プリンタはレーザープリンタが推奨されることが多いのですが、これは滲みが少なくバーコードが読み取りやすいためです。今回は、ビジネスインクジェット(顔料インク)を利用しました。一般的なインクジェットプリンタの場合は、水に弱いため水濡れや経年劣化で滲んでバーコードが読めなくなってしまいます。印刷時の設定はプリンタによって異なりますが、なるべく高画質な設定とするのがおすすめです。

レーダープリンタの場合は品質の低い再生トナーの場合、数年でトナーが剥離してしまうため、長期間利用する場合はあわせてラベルキーパーを利用するのが良さそうです。

バーコードの仕様を決める

蔵書管理のために使われるバーコードには、連続したユニークな番号が使われています。この番号のことを、図書館システムによって図書コードや資料コード、図書番号などいろいろな呼び方で呼んでいます。

重複して番号が振られていなければどのような番号でも図書館システムで管理することができます。学校図書館などでは6桁程度の番号がよく使われているようです。カーリルでは、開始番号を100000~に設定することにしました。学校などでは学校番号を先頭につけることで、地域内で併合などがあっても重複が避けられるようにすることも多いようです。

印刷して貼る

画面左下の印刷ボタンで印刷することができます。枚数を指定してまとめて印刷することをおすすめします。

印刷時に拡大・縮小せずそのまま印刷することに注意

今回利用した粘着力の低い再剥離ラベルの場合、ざらざらした装丁の本では、すぐに剥がれてしまいました。このような場合は、再剥離を諦めてラベルキーパーを活用しました。

ラベルを貼った本

所蔵データを整備する

ここまでの作業が完了すると、エクセルなどを活用して「図書コード」と「ISBN」のデータを整備することで最低限の所蔵データを整備することができるようになります。このデータを 学校図書館支援プログラムにお送りいただくことで、検索サービスを立ち上げることができます。この手順については、”カーリル図書館”の整備状況とあわせてブログ記事にて紹介する予定です!

あくまでこのツールでは、バーコードを印刷するだけなので、このあと、所蔵データをエクセルなどで整備したり、図書館システムを導入することでさらにサービスを拡張することができます。(すでに将来的に導入する図書館システムが決まっている場合は、バーコードの仕様が問題ないか念のため確認することをおすすめします)

オープンソースで公開します

カーリルでは今回開発した、 「カーリルToolBox : バーコード連番印刷」オープンソースで公開しています。自由にカスタマイズしたり、システムに組み込んで活用することもできます。要望がありましたら是非カーリルにお知らせください!

カーリルをご利用のみなさまへのお願い

カーリルにしばらくアクセスしていないユーザーは2021年1月1日以降にログアウトしたり図書館の設定がリセットされる可能性があります。設定を維持するために、12月中にカーリルにアクセスしてください。お手数をおけしますが、ご協力をよろしくお願いします。

なぜ問題が発生するの?

この問題はブラウザに保存された「クッキー」の有効期限切れにより発生します。カーリルは2010年にサービスを開始しました。このとき、「クッキー」の有効期限は10年後の2020年12月31日にハードコーディング(プログラムに直接記述)されました。私たちは、今年の3月にこの問題に気が付きましたが、アップデートの適用が遅れたため、多くのユーザーが影響を受けることになりました。

カーリルの対応は?

この問題に対応するためセッション管理メカニズム(ログイン状態や図書館の設定を安全に保存する仕組み)をアップデートしました。これにより、将来のセキュリティリスクも軽減されます。

どうしたらいいの?

カーリルをご利用のユーザーは、12月中にカーリルにアクセスしてください。最新のセッション管理メカニズムに自動的に移行され、「クッキー」の有効期限も延長されます。

12月中にアクセスしなかった場合はどうなるの?

アカウントが削除されることはありませんのでご安心ください。図書館の設定はログインすることで復元されますが、ログインせずに利用している場合には、改めて図書館の設定が必要となります。お手数をおかけすることをお詫びいたします。


ユーザーの皆様にはお手数をおかけしますが、引き続き、安定的なサービス提供に努めてまいりますので、ご協力を宜しくお願いします。

Web-OPAC(蔵書検索システム)の評価手法を検討するワーキンググループを立ち上げます

カーリルと次世代の図書館システムを開発する「Project Next-L」では、OPAC(蔵書検索システム)の評価手法を検討するワーキンググループを立ち上げます。このワーキンググループでは、図書館向けの蔵書検索システムの評価手法について実践的な検討と可視化ツールの開発を進めます。

各図書館が提供しているWeb-OPACの品質は、図書館が作成した書誌データと検索システムの設計や実装に依存するため、客観的な評価が難しいのが現状です。また、ミドルウェアのアップデートにより、内部仕様が変更された結果、一部の書誌が検索できなくなるなどの運用障害もたびたび発生しています。

ワーキンググループでは、評価用の書誌データセットと、クエリおよび正解データを整備することにより、検索システムの「評価」と「テスト」の自動化に取り組みます。また、これまで感覚的だったシステム間での検索結果の違いを可視化することで、容易に比較できるようにします。

当面は、カーリルが開発する「COVID-19 : 学校図書館支援プログラム」向けの検索システムと、「Next-L Enju」の検索結果を用いて評価ツールの設計を進める予定です。カーリルでは、開発した評価ツールを開発過程の自動プロセスに組み込むことで、製品の性能を継続的に維持、向上することを目指しています。

長期的にはこれらのデータセットや評価ツールが、システム調達時の性能評価の指標として活用されることに期待しています。このプロジェクトは、オープンソースプロジェクトとして進められるため、誰でも開発に参加することができます。グループでのコミュニケーションは、Code4Lib JAPANのSlackチャンネル「#opac」にて進めます。このプロジェクトに興味があるシステム開発企業や図書館の方はぜひご参加ください。

「こうとけんさく」の運用を開始しました

日本最大の図書館蔵書検索サイト「カーリル」を運営する株式会社カーリル(所在地・岐阜県中津川市、代表取締役・吉本龍司)は、埼玉県内の高等学校と特別支援学校に勤める教職員・学校司書で構成している研究団体「埼玉県高等学校図書館研究会」と2020年6月12日に「連携・協力に関する協定」を締結し、図書館の新たなサービスに関する技術開発について連携を進めてまいりました。

その最初の成果として、新しい蔵書検索システム「こうとけんさく」の正式運用を、2020年10月22日から開始しました。本システムの稼働により、高校間資料相互貸借の一層の充実による手厚い授業支援や生徒教職員の読書ニーズへの迅速な対応など、埼玉県内高校図書館のサービス水準向上が期待されます。

「こうとけんさく」は、インターネットを活用して埼玉県内の高等学校図書館の蔵書を横断的に検索するシステムであり、発表時点で、141校310万冊を超える蔵書の検索が可能です。本システムは一般には公開されませんが、カーリルでは、このサービスの運用により得られた汎用的な知見や効率的な運用方法などについて広く公開していく方針です。

検索画面例(一部の所蔵のみ表示しています)

書誌を統合しない総合目録

このサービスは、カーリル提供する業務用の横断検索API「Unitrad API」と、「COVID-19 : 学校図書館支援プログラム」でも活用されている簡易的な蔵書検索技術を組み合わせて構築されました。学校図書館が総合目録(複数の図書館の資料を統合的に検索すること)を運用する場合、各学校からデータを集めて統合したうえで、ひとつのWeb-OPACに登録する方法が一般的でした。このような場合には、資料コード(資料に貼付されたバーコード)や書誌コード、あるいは書誌データそのものの運用を全体で調整したり、統一する必要があります。そのため、導入にあたっての合意形成が負担となったり、システムが大規模化することにより、高コストになることがありました。

カーリルでは、これらの課題を解決するために、マイクロサービスアーキテクチャを採用しました。データを集めることは変わりませんが、各図書館の蔵書データを事前に統合せず、内部的に学校ごとに個別の検索サービスを立ち上げたうえで、検索時には横断検索の結果をリアルタイムに統合します。この設計は一見無駄が多いように見えますが、並列性が向上し、複数のサーバーで分散して処理することができるため、高速に検索できます。

埼玉県立図書館などWeb-OPACを一般公開している図書館は、そのままWeb-OPACとの横断検索として動作するため、データを受け渡したり内部的な検索サービスの立ち上げる必要はありません。今後は、学校図書館でもWeb-OPACの公開が進むことも考えられますが、そのような変化にも柔軟に対応することができるようになりました。

データ更新は、内部的には新しい検索サービスを立ちあげ、横断検索先を切り替えるオペレーションにより実現しています。これによりいつでもデータ更新できるようになり、もちろんダウンタイムはありません。運用性の検証はこれからとなりますが、運用コストの大幅な削減を見込んでいます。

★本リリース作成にあたっては、埼玉県高等学校図書館研究会の発表を引用・抜粋させていただきました。あわせてご確認ください。

埼玉県高等学校図書館研究会からのお知らせ

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学校図書館の検索のイマ!(パート2)
2020-11-05(木) 10:30