標高の高い図書館に行こう!データで見る図書館シリーズ

木村大作監督の新作映画「春を背負って」が6月12日から公開されました。標高3000メートルでの撮影の苛酷さは想像できません。原作は笹本稜平著の小説「春を背負って」です。

映画とはうってかわって暑い日が続きますが、データをもとに涼しいところにいって、読書をするというのはどうでしょうか。カーリルの図書館データベースとGoogleマップのデータをつないで、全国の図書館の標高リストを作ってみました。

日本で一番高いところにあるのは、筑波大学菅平高原実験センター図書室で、1471メートルでした。ただ、この図書室は研究のための施設で、一般には公開されていません。誰でも訪れやすい図書館ということで、公共図書館・公民館図書室に絞ったベストテンをご紹介します。



1位 南牧村図書館「はしばみ」(長野県)1344メートル
2位 川上村文化センター図書館(長野県)1188メートル
3位 草津町立図書館(群馬県)1183メートル
4位 茅野市図書館泉野分室(長野県)1040メートル
5位 富士河口湖町生涯学習館上九一色分館(山梨県)1031メートル
6位 原村図書館(長野県)1008メートル
7位 南相木村立ふれあい図書館(長野県)1007メートル
8位 山中湖情報創造館(山梨県)1006メートル
9位 茅野市図書館北山分室(長野県)982メートル
10位 高山市図書館高根分館(岐阜県)977メートル

これ以外にも調べればもっと高いところに図書館があるかもしれません。
順次追記していきますので、是非カーリルまで教えてください。

シリーズ「データで読む図書館」、次回の話題は未定ですが、面白い切り口が見つかり次第随時更新していきます。お楽しみに!
今回作成したデータはCC-BYで公開します。

ゴールデンウィークは図書館に行こう! 全国の図書館イベント情報2014

ゴールデンウィークの予定はお決まりですか?

各地の図書館で、ゴールデンウィーク中も楽しいイベントや企画展示を行っています。

都道府県立図書館の気になるイベントを集めてみました。ひっかかるものがあったら、ぜひ図書館に足を運んでみてください。
ここでご紹介した以外にも、近所の図書館でもいろいろな企画があるはず。ぜひチェックして、足を運んでみてください。今まで行ったことのない図書館まで遠出してみるのも楽しいかもしれませんよ。

<北海道・東北>

北海道立図書館
5月3日 子ども向け図書館ツアー2014 「図書館のヒミツをさがせ!」
~5月11日 展示:今年のGWも「大型絵本」を大公開
青森県立図書館
~6月8日 企画展「棟方志功と青森の文学」
岩手県立図書館
5月4日 コンシェルジュガイドツアー「図書館♪さんぽ」
~5月29日 企画展「南部のお殿様、明治を生きる」
秋田県立図書館
~5月18日 秋田県立博物館出張展示「春の小さな鉄道展」
宮城県図書館
~6月27日 展示:東日本大震災文庫展Ⅳ「小松左京が遺したもの-震災の記憶・未来へのことば-」
山形県立図書館
4月26日 先着80名!!参加無料!!紙ヒコーキ教室
~5月11日 妊娠・出産のことを、男女ともに考えてみませんか~山形県子ども家庭課連携展示
福島県立図書館
~4月30日 「図書館の至宝」展:新聞でたどる福島県立図書館のあゆみ
5月11日 親子ふれあい読書フェスティバル「絵本はともだち」

<関東>

茨城県立図書館
4月26日 定期プラネタリウム上映会『春の星座』
5月5日 イベント『子ども読書フェスティバル』
栃木県立図書館
4月19日~ 県立美術館 真岡発:瑛九と前衛画家たち展
栃木県立足利図書館
~5月11日 児童書の展示 ~こどもの読書週間行事~「おはなしの世界に出かけよう ~足利図書館おすすめの本~」
5月24日 春の朗読会「人生いろいろ ~萌える命とその移ろい」
群馬県立図書館
~5月11日 近代美術館・県立図書館シェイクハンドキャンペーン「狩野派と江戸絵画の魅力」
4月25日~7月6日 資料展示・世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」
埼玉県立久喜図書館
5月2日 郷土に親しむ映画会「水の旅路 板東太郎物語 第1章」
~5月11日 パネル展示&資料展示 認知症を理解し、向き合うために
埼玉県立浦和図書館
5月1日 木曜映画会「日本国憲法誕生」
~5月18日 展示「ムーミンの世界へようこそ!」
埼玉県立熊谷図書館
5月9日 郷土を知る映画会「武州藍」
~5月22日 展示「黒田官兵衛 ―5つの名前を持つ男―」
千葉県立中央図書館
4月26日 子ども読書の日 おはなし会
~8月14日 展示「祝!無形文化遺産登録~和食でおもてなしの心を世界へ~」
千葉県立西部図書館
~6月19日 展示「今こそ、理系!」
千葉県立東部図書館
4月27日、5月10日、5月25日 「図書館ナビ」書庫見学会
~7月17日 展示「魅惑の舞台演劇 ーシェイクスピアと日本の舞台演劇の歴史ー」
東京都立中央図書館
~6月1日 企画展示「進化する東京-観光都市・東京の魅力-」
東京都立多摩図書館
4月27日 ミニシアター 『オーケストラの少女 日本語版』
~4月30日 東京マガジンバンク企画展示「今!男性誌がおもしろい~ファッション誌・ライフスタイル誌の魅力~」
神奈川県立図書館
~5月7日 県立図書館60周年記念展示 コレクション紹介シリーズ「ベストセラーズ文庫」
5月17日 図書館大公開 図書館ツアー&お宝紹介①
神奈川県立川崎図書館
4月26日 科学実験教室「キツツキとトコトコ馬~動くおもちゃで振動について知ろう!」
6月25日~27日 社史フェア 2014

<甲信越・北陸>

新潟県立図書館
~5月6日 ギャラリー展示「第三回柳都四人の写真展」
5月20日 第4回県の仕事に少し触れてみる講座「親鸞と越後・佐渡における浄土真宗の展開」
県立長野図書館
4月のテーマ本展示「図書館の本」&「パンの本」
山梨県立図書館
5月10日 「疎開した40万冊の図書」上映会・トークショー
~6月29日 情報サテライト1資料展示「花子とアン~もっと楽しむ“朝ドラ”の世界~」
富山県立図書館
~5月6日 企画展示「のりものえほんを楽しもう!~まちどおしいな、しんかんせん~」
石川県立図書館
5月3日 イベント:第1回「図書館をたのしもう」としょかんクイズにチャレンジ
~5月29日 第56回こどもの読書週間記念展示「もう一度読みたい 国語教科書」
福井県立図書館
4月27日 こどもの読書週間記念講座「アンデルセンの生涯とその作品」
~5月29日 展示「図書館をもっと楽しむために!~図書館を知る、本を知る~」

<東海>

静岡県立中央図書館
~5月29日 特集展示「パリへの憧憬」
5月9日~6月1日 「ピーター・ラビットの世界展」
愛知県図書館
~5月6日 ミニ展示「世界を読む1 ドイツ!」
5月11日、7月1日 企画展示「和のこころ」関連行事「講談・素浄瑠璃をきいてみよう」
岐阜県図書館
4月27日 図書館活用講座【子どもの本編】お父さんお母さんのための読み聞かせ講座
常設展示 partⅢ「地図は情報の玉手箱-活かす・楽しむ・描く-」
三重県立図書館
4月27日 館内ガイドツアー「図書館探険隊」
~5月6日 三重県立美術館企画展「ア・ターブル!―ごはんだよ! 食をめぐる美の饗宴―」関連本

<関西>

大阪府立中央図書館
4月26日~5月6日 「春だから…図書館へ行こう!DAY」
~6月29日 資料展示「かがやく<少年>探偵たち~子ども向け推理・探偵小説のあゆみ~」
大阪府立中之島図書館
~4月26日 ミニ展示「資格の勉強、はじめてみませんか?」
5月17日 書庫見学ツアー
京都府立図書館
4月25日、5月14日 図書館活用講座
「今からお出かけ いつでも見られる京都案内本」コーナー
滋賀県立図書館
~5月9日 ミニ展示「何か始めたい春~入門書あれこれ~」
~7月末 近江デジタル歴史街道関連展示「曳山のまち長浜をたずねて」
兵庫県立図書館
4月26日 子どもの読書週間イベント2014「おはなしのせかいへようこそ」
4月26日、27日 イベント「えほんdeピクニック2014」
奈良県立図書情報館
5月10日 「服を読む」ワークショップ「ファッションの時間」 >>関連展示(~6月1日)
~6月26日 図書展示 「シェイクスピアに出会う : 祝!生誕450周年」
和歌山県立図書館
4月27日、5月4日、11日 おはなし会
~27年3月31日 児童室特別展示『鉄道の本-東海道新幹線開通50年―』

<中国>

鳥取県立図書館
4月26日 「なんと昔があったげな」~鳥取県に伝わる昔話を聞く会~
4月26日、5月10日、24日 鳥取大学サイエンス・アカデミー『航空技術と宇宙開発の最前線』
島根県立図書館
4月27日 講演会「出雲の山城〜築城と合戦の実像をさぐる〜」
展示「村岡花子と赤毛のアン〜NHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」によせて〜」
岡山県立図書館
5月17日 第1回 放送大学・県立図書館連携講座「バイオテクノロジーの話」
5月29日 講座「フォトムービーを作ろう」
広島県立図書館
5月31日 平成26年度知的書評合戦「ビブリオバトルin 広島県立図書館」
~8月29日 資料展示「ママンペールで紹介された絵本」
山口県立山口図書館
~5月11日 資料展示「懐かしきSF児童文学」
~5月29日 明治維新人物ギャラリー資料展示「高杉晋作の詩歌」

<四国>

香川県立図書館
4月26日、5月10日 イベント「こども読書まつり」
~6月1日 企画展示「香川県立図書館のあゆみ~SINCE1905」-香川県教育会図書館時代から現在まで-
徳島県立図書館
~6月8日 展示「読んでみん?みんながすすめる本」
~6月29日 展示「徳島ゆかりの著名人 とくしま 私のこの一冊」第4回
愛媛県立図書館
~4月29日 展示「虚子文庫~鎌倉由比ヶ浜より松山堀之内へ~」
5月3日 春のたっぷりおはなし会
高知県立図書館
5月3日、4日 イベント「みどりの日のおはなし会」

<九州>

福岡県立図書館
~4月末 ミニ展示「黒田官兵衛と福岡」
佐賀県立図書館
県立図書館開館100周年記念展示「図書館の誕生から100年の出来事」  
~6月24日 「こどもの読書週間」関連イベント
長崎県立長崎図書館
5月25日 講演「長崎の文学とキリスト教-『浦上四番崩れ』をめぐる文学-」
~6月22日 第1回『長崎の文学とキリスト教』展
大分県立図書館
~5月12日 こどもの読書週間行事「そよかぜげんき広場」
~6月15日 金子みすゞ資料展
熊本県立図書館
4月26日~5月19日 たのしい絵本展「きょうりゅう大集合!」
5月3日 「平田オリザ演劇講演会・ワークショップ」
5月18日 熊本近代文学館文学講演会「第6回 武蔵忌句会」
宮崎県立図書館
5月3日 平成26年度 第1回緑陰コンサート
5月5日 平成26年度 図書館シアター『人生、ここにあり!』
5月5日 平成26年度 第1回図書館子ども映写会『しゅくだい』/『ぼくがおっぱいをきらいなわけ』
鹿児島県立図書館
~4月30日 ミニ展示「鹿児島と動物たち」
~5月11日 イベント「子ども読書の日フェスティバル」
鹿児島県立奄美図書館
~5月11日 こどもの読書週間企画展「大きくなあれ おはなしの木」など
5月17日~ 生涯学習講座「あまみならでは学舎」
沖縄県立図書館
~4月28日 エントランス展示「あきやまただし 絵本と原画展」

いかがでしょう、気になるイベントはありましたか?

>>行きたい図書館を探す

(杉山@カーリル

カーリルセキュリティアラート「図書館システムのHeartbleed Bugへの対応について」

2014/4/17 9:00 更新 : 脆弱性検出数の推移をアップデートしました

図書館のシステム担当者の皆様へ

OpenSSLの脆弱性(CVE-2014-0160)はパスワードや内部データなどの機密情報を容易な方法で第三者が取得できる、極めて緊急性の高いものです。この脆弱性はHeartbleed Bugと呼ばれ全世界的に対策が進められており、カーリルでは対策が完了しております。

図書館のウェブシステムにおいては、予約などの個人情報を扱う処理の安全性を高めるためにSSLが広く利用されており、この処理にOpenSSLが利用されています。この脆弱性はサーバーの通信内容や機密鍵を第三者が容易に取得することが可能であり、情報が漏洩したとしても一般的にログが残りません。

既に多くの図書館においては対策が進められているものと思いますが、図書館が広くこの問題を認識し対策を円滑化するために、改めて注意喚起をいたします。

なおカーリルでは連携先の図書館システムを対象に簡易的な検査を実施しており、脆弱性が疑われるホストに対しては継続的に追跡をしております。影響が大きいと思われる大規模な図書館については個別にご連絡をしておりますが、脆弱性が疑われる図書館が多く、すべての図書館に個別のご連絡することができません。各図書館においてもただちに状況を把握するようにしましょう。
脆弱性の有無についてはいくつかの確認サイトで簡単に確認することができます。

【図書館システム・ウェブサイトの脆弱性検出数の推移】(対象3492ホスト)
2014年4月8日  19:00時点  178ホスト (うち公立図書館のシステム、34館)

2014年4月8日  21:40時点  174ホスト
2014年4月9日  9:00時点  160ホスト
2014年4月9日  11:00時点  156ホスト
2014年4月9日  16:00時点  150ホスト
2014年4月15日  0:00時点  54ホスト (うち公立図書館のシステム、5館)
2014年4月15日  10:00時点  52ホスト (うち公立図書館のシステム、4館)
2014年4月16日  12:00時点  49ホスト (うち公立図書館のシステム、3館)
2014年4月17日  9:00時点  41ホスト (うち公立図書館のシステム、1館)
2014年4月19日  14:00時点  32ホスト (うち公立図書館のシステム、0館)
※ホストには図書館システムと図書館のウェブサイトがあるサーバー(市役所のウェブサーバー)を含みます。
※公立図書館の集計数は、図書館システムが存在するホストに絞って集計したものです。

脆弱性への対応についてご不明な点がありましたら可能な範囲でご協力が可能です。お気軽にお問い合わせください。カーリルでは、安心して図書館のウェブサービスをご利用いただけるよう、図書館やシステム開発元とも連携して安全かつ先進的なサービスを提供してまいります。

緊急時連絡先 : カーリル 0573-67-8105

「北欧の図書館に行きたくなる話」を聞いてきた

明治大学和泉図書館で「北欧の図書館に行きたくなる話」が開催されました。

北欧の図書館といえば、行ってみたい世界の図書館として時々話題になります。
中央大学職員の梅澤さんの体験談が面白いということで、北欧の図書館に行ったことのある二人の発表者を加えてこのイベントが企画されたそうです。

北欧は日照時間が短いため、どの図書館も外の光をたくさん取り入れられるように大きな窓があるのだそう。これが、開放的な図書館建築につながっているようです。
歴史的な建物でも、図書館の内部は現代に合わせて進化しており、完成当初のクラシックな雰囲気を残した区域と、明るい光を取り入れたモダンな区域が隣り合わせで存在しているとのこと。

さらに大学図書館は市民に開かれているため、特別な手続きも必要なく利用できるそうです。本は読めなくても、観光でもぜひ訪れてみたい場所ですね。

今回は、10館紹介いただいた中から当日会場投票によって選ばれた、「行ってみたくなる図書館ベスト5」を詳しく紹介します。なお、記事中の図書館の写真は、発表者の杉谷美和さん、梅澤貴典さん、松田雄二さんにご提供いただきました。ありがとうございました。

第1位 ストックホルム市立図書館(スウェーデン)・・・梅澤さん発表

今回、北欧の図書館をいろいろ回りましたが、実はこの図書館に行ってみたいがための旅行でした。四角い箱の上に丸いケーキが乗っているよう斬新な形をしているのですが、建てられたのは1928年です。中に入ると、丸いところの壁は360度書架になっていて、本棚が三層に並んでいるのが圧巻です。「今日はこの図書館で勉強するぞ!」というワクワク感がある。このワクワク感が大事だと思います。自分で図書館をつくるなら、そういう演出ができるといいですよね。ここに行けてよかったです。

>> もっと写真を見る
>> 図書館の中を見てみる

第2位 マルメ市立図書館(スウェーデン)・・・松田さん発表

マルメ市立図書館は超有名な建築家ヘニング・ラーセンの設計で、改装した旧館と新館をあわせた広い図書館です。子どものコーナーは靴を脱いで入るようになっており、カラフルでちょっと隠れられるような家具が設置されています。全面ガラス張りで光をふんだんに取り入れられる吹き抜けがあり、これを見た時はとんでもなく感動しました。

>> もっと写真を見る
>> 図書館を外から眺める

第3位 ウプサラ大学図書館(スウェーデン)・・・梅澤さん発表

図書館は広い場所に建っている大きな建物です。入口を少し奥に入るとムーディな場所があり、ゆったりした閲覧席が並んでいます。ソファの背もたれが高いのは特に意味はなさそうですが、周りの目を気にせずに学べるというのは、女性一人でも安心していられてとてもいいですよね。広い吹き抜けの空間や、螺旋階段、閲覧席を見下ろすような渡り廊下もあって、立体的な空間を演出するつくりになっています。

>> もっと写真を見る
>> 図書館を外から眺める

第4位 デンマーク王立図書館(デンマーク)・・・梅澤さん発表

デンマーク王立図書館は通称「ブラック・ダイヤモンド」と呼ばれています。外観はその名の通り、真っ黒でダイヤモンドの形をしています。これに関しては賛否両論あり、美しいコペンハーゲンの街にそぐわないと反対する意見もあるそうです。中は近代的なエスカレータがあるかと思えば、すぐ向こうに歴史を感じるカード目録があるなど、古いものと新しいものが融合されている図書館でした。その日の気分や用途によって場所の使い分けができそうです。

>> もっと写真を見る
>> 図書館を外から眺める

第5位 ヘルシンキ大学中央図書館(フィンランド)・・・杉谷さん発表

この図書館は、日本だと「~だったらどうすうるんだ。」となりそうなところを「~だったらいいよね。」という思想に基づいて空間がデザインされているような印象を受けました。とても開放感がある白を基調とした気持ちのいい空間に、カラフルな家具が置いてあります。螺旋状の階段で上下階の雰囲気がわかりやすく、次の階に行ってみたくなる演出がいい。自動返却仕分け機があって、ガラス壁の向こうの返却作業が見られるようになっています。様子がわかるからか、とてもきれいに保たれていました。

>> もっと写真を見る

次回の特集は北米の図書館

この「図書館に行ってみたくなる話」、次回の特集は北米(カナダ、アメリカ)です。開催は夏前、発表者も募集中だそう。話してみたい方、聞いてみたい方、明治大学図書館のウェブサイトTwitterをチェックしてみてくださいね。

(杉山@カーリル
<関連リンク>

図書館の検索画面にある「件名」のひみつに迫る



図書館の蔵書検索システムで「件名」という項目があるのをご存じですか。
個人件名や一般件名などいくつかに分かれていることもあります。

いったいこれ、どうやって使ったらいいのでしょうか。「件名」のひみつに迫るべく、図書館向けの書誌データベースを提供する図書館流通センターで、図書館に納める本の情報を整備している豊田さんにお話を伺いました。

「件名」って何ですか?

豊田:「件名」の前に、まず「書誌」についてご説明したいと思います。
書誌は、その本を探すための様々な情報のことです。タイトルや著者名、出版者、発行年等の基本的な情報の他にも、本の内容や分類、著者のプロフィール等があり、本によって情報の項目数は異なります。件名もこの中の項目のひとつです。


今のような情報検索システムが普及する以前は、目録カードがこの役割を果たしていました。若い人は目録カードを知らないかもしれません(笑)

−−目録カード知ってます! 以前図書館のカウンターの近くに置いてあった、小さいカードですよね。ずらーっと並んでるやつ。

豊田:そうです。あのカードに載っている情報が書誌です。現在ではもっと項目数も多く、詳しくなっています。コンピュータで検索できる書誌のことをMARCと言います。”MAchine Readable Cataloging”の略で、マークと読みます。
(MARCについてもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。)

−−なるほど。豊田さんはその書誌を整備する仕事をなさっているんですね。

豊田:はい。私は普段、発売前の本のMARCを作る部署で、「分類」と「件名」の作成を専門に担当しています。「分類」はその本がどの分野に属するかを示すもの、「件名」はその本が何について書かれたかを端的に表すものです。


例えば、お菓子の作り方だと件名は「菓子」、フェイスブックに関する本の件名は「ソーシャルネットワーキングサービス」となります。


本の内容をわかっていないと入力できないので、書誌を作る部署の中でも一番本について知っているかもしれません。

書誌には色々な項目があるみたいですが、「分類」と「件名」だけを担当しているんですか?

豊田:はい、分類と件名だけを毎日チェックしています。一日で数十冊の本をチェックすることになります。

分類と件名の他にも、各項目にはそれぞれのエキスパートがいます。タイトルや著者名、出版者、発行年等の基本的な情報を担当するグループ・著者調べを担当するグループなどに分かれて作業をしています。各担当がそれぞれの項目を入力し、それを様々な形でチェックして、ようやく1冊分のMARCが出来上がります。

MARCを作っている部署は、全部で100人くらいいて、分類と件名を担当する私の班は10人くらいです。
−−すごい人数ですね。ところで「件名」って、本のタイトルのことじゃなかったんですね。違いがよくわかってませんでした。



豊田:そう、別物なんです。メールだとsubject=件名を指すので、一般にはわかりにくいかもしれませんね(苦笑)


件名は、その本に何が書かれているかという主題を明確にするためのもの、いわば本のテーマです。主題が複数に渡る場合は、最大9件まで入力することがあります。


児童書の場合は「学習件名」を入力します。本の中に複数の主題があることが多いので、目次の数だけ入力するような場合もありますね。こちらは最大99件までです。

−−なぜ「主題」ではなく「件名」という名前なんでしょう。


豊田:「件名」は、「主題を簡潔な言葉で表した」もので、件名標目表により、使用する言葉を決定します。「主題」そのままではないので、「主題」と区別する意味で「件名」という名称がつけられたものと思われます。

−−うむむ、そうだったんですね。因みに、件名って今いくつくらいあるんですか?

豊田:そうですね・・・確か98,000件くらいです。世の中の動きや流行とともに、日々新しい件名が追加されています。分類や件名の入力をしていると、世間のトレンドを知ることができて面白いですよ。

−−件名というのは、どうやらウェブで言うところの「タグ」と同じような役割みたいですね。これは活用すると、資料探しがぐっと楽になりそうな予感。。

「件名」は、誰でも使えますか?

豊田:あまり知られていませんが、実は件名は調べものの時にとても便利です。


例えば通常、調べたいことのキーワードを入力して本を探すと思うのですが、それだとキーワードに少しでも関係のあるものが全て結果に表示されてしまい、実際読んでみると、調べたいことには触れられていなかった、なんてことも少なくありません。

そこで件名での検索が有効です。主題(テーマ)で探すので、目的の本に素早くたどり着くことができます。


また、児童書の場合、1ページだけそのことが触れられているということもよくあります。1冊ずつ本の内容にあたるのは大変ですが、学習件名で予め絞り込んでおけば、必要な情報を効率よく得ることができます。

−−「件名」での検索はどうやったらできますか?

豊田:図書館での蔵書検索システムで検索をする際に利用できます。詳細検索画面を開いて、「件名」の覧に調べたい件名を入れて検索するだけです。そうすると、調べたいテーマに関する本だけが表示されますよ。

成田市立図書館の蔵書検索画面

−−なるほど、全然知りませんでした。

豊田:件名での検索はとっても便利なんです! でも件名はあまり知られていなくて、使われていないのが現状です。図書館によっては件名での検索ができない場合もあるみたいですが、的確に資料を検索できるので、ぜひ活用して頂きたいと思っています。

−−ありがとうございました。件名検索で調べものも効率的に進みそうですね。

カーリルで件名を使うには

カーリルの検索窓に「bookportal:(件名)」と入れて探してみてください。
図書館流通センターの運営するTRCブックポータルとの連携により、カーリルでも件名での検索ができるようになりました。面白い本が見つかるかも。

(杉山@カーリル

<関連リンク>
株式会社図書館流通センター
TRCデータ部ログ
件名標目委員会|日本図書館協会
「件名」に関する本をカーリルでさがす

モバイルバージョンを終了