ChatGPTを活用した蔵書検索サポーターの実証実験を開始します

カーリルでは、ChatGPTを活用した「蔵書検索サポーター」を実装し実証実験への協力図書館を募集しました。ユーザーが検索キーワードにヒットする本がなかった場合に、ChatGPTを活用して、自然文の質問から適切な検索キーワードを提案することを想定しています。実際の図書館の蔵書検索と連携することで、その図書館の蔵書にあわせたキーワード提案を実現します。

実証実験の実施に向けて各図書館との調整を進めてまいりましたが、この度、準備が整いましたので発表いたします。8月以降に順次サービスを立ち上げ予定です。実証実験による検索サービスを一般公開するかどうかは、各図書館の運用により異なります。今後、10月を目途にフィードバックをとりまとめてレポートを発表する予定です。ご協力いただく図書館は以下の通りです。北海道から沖縄まで、さまざまな規模の図書館にご協力いただくことになりました。

  • 中札内村図書館(北海道) X投稿
  • 埼玉県立図書館
  • 埼玉県立飯能高校図書館
  • 新名学園旭丘高等学校図書館(神奈川県)
  • 県立長野図書館
  • 京都府立丹後緑風高校久美浜学舎図書館
  • 沖縄工業高等専門学校図書館

仮想的な蔵書情報によるデモサイトは引き続きご利用いただけます。

今後、各図書館の判断にて実証実験が一般公開される場合には、このページでもURLをお知らせします。発表に含まれる図書館以外にも、多くの図書館に実証実験への協力を検討いただき感謝しています。カーリルでは、引き続き「図書館をもっと楽しく。」をミッションとして、図書館に関わる技術開発に取り組みます。

「openBD API(バージョン1)」の終了によるカーリルへの影響について

カーリルでは、書誌・書影情報の自由な流通を目指して、出版社団体である版元ドットコムと共同でopenBDプロジェクトを推進してきました。このプロジェクトでは、出版社団体である版元ドットコムの会員社が提供する書誌データだけではなく、版元ドットコムが受信している、出版情報登録センター(JPRO)のデータを含めることで、網羅率の高い書誌・書影情報の配信が実現しました。カーリルは、配信インフラの運用を担ってきました。

2023年6月5日から、JPROから版元ドットコムへのデータ配信が停止され、openBDのデータ更新に遅延が発生しておりました。その後、版元ドットコムにおいてJPROとの協議が継続しておりました。この間、版元ドットコムとカーリルでは緊密に連携して対応を検討してきましたが、最終的に、現状スキームによるオープンな書誌・書影情報の提供継続は困難と判断しました。2023年7月25日、openBDプロジェクトから、「openBD API(バージョン1)」の提供終了について とのお知らせが公表されました。

カーリルでは代替APIの設計など、バージョン1の提供終了がopenBDに依存しているプロジェクトにとって最小の影響となるよう努力します。カーリルでは、図書館および出版情報のパブリックインフラを担う覚悟をもって、引き続き書誌・書影情報の自由な流通を目指すとともに、版元ドットコムとの共同事業に取り組みます。

なお、openBDの提供するAPIは、カーリルの各種ウェブサービスでも幅広く活用されています。カーリルが提供する検索サービスには、多様な情報源を組み合わせているため、ただちに影響はありませんが、書影や詳細な書誌情報(内容紹介や目次など)の提供に影響が出る可能性があります。現在、この影響を最小限とするため、カーリルとしてもJPROとの協議を申し込んでいます。

影響が懸念されるサービス

  • カーリル
    ・書影の網羅率が低下します
    ・本の個別ページに掲載している、内容紹介や目次情報の提供ができなくなります
    ・近刊情報(未発売)の本が検索結果に表示されなくなります
  • カーリル学校図書館支援プログラム
    ・検索サービス内での書影の網羅率が低下します(従来からGoogle Booksとも連携しているため、Google Booksに書影がある場合は引き続き表示されます)
    ・内容紹介や目次情報の提供ができなくなります
    ・国立国会図書館が提供する書影APIとの連携を検討しています
  • カーリル ブックウォーク
    ・サービスを終了します
  • カーリル Unitrad API
    ・新刊リクエスト等で連携している近刊情報はNDLサーチのAPIと連携しており影響はありません
    ・なおAPIを活用したユーザーインターフェース上で表示している書影がopenBDの場合は網羅率が低下します

関連情報

「openBD API(バージョン1)」の提供終了について

Twitterログインによる連携の終了について(7月5日追記あり)

カーリルをご利用いただきありがとうございます。カーリルでは、読みたいリストなどをご利用いただくために、各種ソーシャルネットワークのアカウントなどでログインできるようになっています。

このうち、Twitterとの連携について、新規のログイン連携を終了しました。カーリルでは、すでにTwitterの提供する新しいAPIに切り替えているため、以前からカーリルをご利用いただいているユーザーについては、Twitterログインによるログインに引き続き対応しています。

しかし、今後もTwitterの方針変更により、ログイン連携が停止されるリスクがあります。安定的にカーリルをご利用いただくために、別のサービスでのログイン連携を必ず設定してください。

スマートフォンから正常にログインができない不具合について

Twitterの不具合の影響により、iOSおよびAndroidのスマートフォンで、Twitterアプリがインストールされている場合に正常にカーリルにログインできない問題に対応しました。これまでカーリルにTwitterでログインしていたユーザーは現在のところカーリルにログインできます。エラー等が発生する場合はお問い合わせください。(2023/5/15追記)

正常にログインができない不具合について

2023年6月24日頃からTwitterの仕様変更の影響により、Twitterアカウントによるカーリルへのログインできない状況でした。この問題は7月5日に解決されました。現在は、以前からTwitterアカウントを利用しているユーザーのみ引き続きTwitterによるログインが可能です。(2023/7/5追記)

Twitterログインの完全終了予定について

カーリルでは、2023年9月30日に既存ユーザーも含めてすべてのTwitterログインを終了する予定です。

ChatGPTによる蔵書検索サポーターの実装(協力図書館募集)

現在、ChatGPTなどのジェネレーティブAIを活用した新サービスが活発に提案されています。カーリルでは、ChatGPTと図書館が提供する一般的な蔵書検索サービスを連携させる方法について検討しました。

蔵書検索サポーターの実装

利用イメージを体験するために、カーリルでは学校図書館支援プログラムで提供している学校図書館向けの蔵書検索サービスにChatGPT(OpenAI API)を組み込み、「蔵書検索サポーター」を実装することにしました。例えば、ユーザーが検索キーワードにヒットする本がなかった場合に、別のキーワードを提案したり、自然文の質問から適切な検索キーワードを提案することを想定します。カーリルが提供する検索サービスもAPIでアクセスできるため、OpenAI APIと接続するプロセスは驚くほど簡単でした。


ChatGPTと直接チャットする場合との大きな違いは、個別の図書館の蔵書情報を回答のための情報源として扱ったり、AIの出力を蔵書データと掛け合わせてユーザーに提示できることです。言語モデルはGPT-4を採用しました。

チャットによる検索キーワードの提案(実画面)

この取り組みは初歩的なものであり、さまざまなシチュエーションに最適化されているわけではありません。また簡易的な実装であるため、応答時間も少し長くかかります。しかし、蔵書検索サービスとチャットAIが協調して検索行動をある程度サポートすることができるようになりました。学校図書館支援プログラムのデモデータを対象にした「蔵書検索サポーター」のデモページを公開しますので、実際の動作を体験することができます。

デモページ

実証実験について

OpenAIが提供するAPIは利用量に応じた従量課金です。そのため、大規模な投資が不要であり、各図書館が運用する小規模な検索サービスでもAIが活用可能です。もちろん、会話情報をOpenAIに送信する必要があるため、個人情報の保護については十分な配慮が必要ですし、AIの回答には誤りが含まれる場合があるため、それを前提としたユーザー体験が求められます。カーリルでは、今後、蔵書データを事前にベクトル化するなど、一般的なChatGPTとのインテグレーションを蔵書検索サービスに適用してみる予定です。

今後は図書館のウェブサービスにおいても、汎用AIの活用が活発化することが予想されます。それに先立って、課題や可能性、またプライバシーポリシーの定義などについての議論を深めるため、また運用にかかるコストを検証するため、カーリルでは、この簡易的な検索サポーター機能の実証実験(図書館の検索サービスへの組み込み実験)を実施することにしました。

実証実験にかかる費用はすべてカーリルが負担します。一般公開することもできますし、限定的な公開にとどめることもできます。カーリル学校図書館支援プログラムを導入している学校図書館や公民館図書室では、すぐにサービスの立ち上げが可能です。それ以外の図書館では、簡易的な書誌データをCSVなどで提供いただくことにより、サービスを立ち上げます。

蔵書数、図書館の種類、図書館の規模は問いません。

この実験に協力いただける図書館や、興味のある図書館の方は、カーリルにお問い合わせください。実施方法については個別に調整します。ご希望いただいたすべての図書館にはサービスが提供できない可能性もありますので、あらかじめご容赦ください。

フィードバックを集約した上で、レポートを公開する予定です。

想定を上回るお問い合わせをいただきましたので、実証実験に関する新規の受付を終了します。ご協力ありがとうございます。なお、お問い合わせいただいた図書館には順次ご案内いたします。 (2023年4月10日追記)

ChatGPT Pluginsによる連携について

多数ご要望いただいております、「ChatGPT Plugins」によるカーリル図書館APIとChatGPTとの統合については現在、技術的な可能性を検討中です。

Internet Explorer 11のサポートを終了しました

カーリルでは、消極的対応方針により、検索などのコア機能について「Internet Explorer 11」(IE11)のサポートを維持してきました。このたび、検索を含むカーリルのすべてのサービスでIE11のサポート期間が終了しました。これにともない、今後IE11ではサービスをご利用いただけなくなります。カーリル利用者のうち約0.4%がこの影響を受ける見込みです。対象となるユーザーのみなさまは、最新ブラウザに移行してください。

IE11のサポート終了スケジュール(2021年発表)
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