図書館のこんな仕事が面白い★大学図書館で聞いてみた

図書館で働いたことはありますか?
普段通っている図書館の”なかのひと”はどんなことを考えているのでしょうか。今回は、キャリアパワーと東洋大学白山図書館の協力で、「図書館のこんな仕事が面白い」をピックアップします。
(※この記事は株式会社キャリアパワーによるPR記事です)

4月に改装オープンした東洋大学白山図書館

お伺いしたのは、この春に改装して新しくなった東洋大学附属図書館。白山キャンパスの中央にそびえる16階建ての建物「図書館・研究棟」、地下2階から地上2階までが白山図書館です。図書館の中には、学生たちがより学習や研究しやすいよう、新たにPC室、グループ学習室、セミナールーム等が設けられました。

取材は夏季休暇中の早い時間だったため、学生の姿はあまり見られませんでしたが、グループ学習室は普段は予約でいっぱいで、学生たちの声でとても賑やかなんだとか。

机や椅子を自由に動かしてレイアウトできるラーニングフォレストは予約不要で使えるので、友人との共同作業の際にもぴったりです。

春からこちらの図書館で働き始めた4人のスタッフに、図書館の仕事の楽しさを伺いました。

楽しいのは、新着図書を出す仕事


白澤さん:1階の受付では、本を扱う業務は多くありません。毎日たくさんの方と顔を合わせる仕事です。本学の学生は、学生証を持っていれば入館できるのですが、コンソーシアム提携校や相互利用協定を結んでいる機関の利用者、地域の方等が利用する場合は、受付で利用申込をして頂きます。色々な方がいらっしゃって楽しいですよ。特に夏季休暇期間中は、文京区、板橋区、北区にお住まいの方にも開放しているので、開館時間前に15人程並んで待っていらっしゃる場合もあります。開館直後は対応におおわらわです(笑)

受付は図書館の1階で、多くの方が利用する通路に近いので、道や場所を聞かれることも多いです。例えば、飲み物はどこで買えるかとか、建物の場所とか。図書館が入っている2号館は、教授の研究室が上階にあって、そこを尋ねる学生に研究室の場所を聞かれることもあります。

また、受付近くには掲示板があって、ポスターを貼る担当もしています。新しいイベントの情報をいち早く知ることができたり、珍しい展覧会を見つけたりすると、おっ! と思います。これも楽しいですね。

一番楽しいのは、新着図書を出す業務です。実際本に触れることもできますし、最新の情報も入手できます。こんな本があるんだ、と思いながら本を並べるのがとても楽しいですね。

楽しいのは、書架整理

児玉さん:私は地下1階のメインカウンターで、貸出・返却や、文献検索のお手伝い、レファレンス等を行っています。いわゆる「図書館で働く」と言って思い浮かぶような仕事です。一番多いのは貸出・返却で、予約本を探してお渡しするのも業務のひとつです。

メインカウンターには、利用者の方が本の場所を聞きにいらっしゃることが多いです。お年を召した利用者の方は「PC操作なんてできない!」と、入館してまず最初にカウンター直行、ということもよくあります(笑)「この本はどこにありますか?」と。もちろん、使ってみたいという方には検索端末の操作方法をご案内することもあります。学生は自分で必要な本を検索して見つけて探しに行ってますね。

そんなに多くはないですが、レファレンスを利用した方にうまくご案内できると、お互い満足できて嬉しいですね。テーマによっては得手不得手があるので難しい場合もありますが。「どうやって本を探したらよいか」という場合には、パスファインダーという、特定の情報を得るために図書館が提供できる関連資料のリストをご案内することもあります。結構便利ですよ。

それ以外も含めた全ての業務の中では、配架と書架整理が好きです。やはり本が好きなので、本と向き合いながら書架を整えていくと静かで落ち着いた気持ちになれます。楽しいですよ。

楽しいのは、学生の研究のお手伝い

大竹さん:私たちは少し特殊に思われるかもしれません。担当が学習PC室「まなぴ」なので、いわゆる「図書館の仕事」と言って想像するものとは違うことをしています。本を扱うことは殆どなく、学生さんのPC操作のお手伝いや、必要な情報にたどりつくための手助けをしています。

司書資格を持っているんですが、実際その知識を活用するような場面はあまりないように見えるかも…。PC操作の案内は、本以外にも、色々なデータベースやウェブサイト等で情報を得ることも「知へのアクセス」という意味でも、図書館の大切な業務だと思っています。

PC室の業務は、学生にPCソフトの操作方法を教えたり、レポート作成に必要な情報をデータベースで探す方法を教えたりすることです。卒業研究のために統計ソフトの使い方を教えてほしいと言われ、詳しくなかったので一緒に勉強しながら教えることもありました。「統計ソフトの使い方を調べるのも研究のうち」と、それも含めてご案内しました。

佐藤さん:私は実は学生をしながら図書館で働いています。学生の立場だと、レポート提出間際になって泣きそうなところで手伝ってくれるととても助かるという気持ちはよくわかります。が、ぎりぎりで参考資料が貸し出されていて無いときもあるので、自分も含めてですが、できれば余裕を持って取り組むようにしたいですね(笑)

大竹さん:働き始めて意外だったのは、現代の大学生はPC操作なんて簡単にできるだろうと思っていたら、意外と基本的な操作を知らない学生が多かったことです。でも意欲があってすぐに慣れて覚えてくれますよ。

大変なこともありますが、やはり学生と一緒に考えながら、学生の目指すところにたどりつけると嬉しいし、楽しいですね。

(杉山@カーリル

【PR】大学や大学図書館に特化した人材サービス会社キャリアパワー

今回は大学図書館の現場でお話を伺いましたが、皆さんの想像していた図書館の仕事と比べてどうでしたか。
ご紹介した4名は、キャリアパワーで図書館のお仕事を見つけた方々です。エプロンにはおそろいのカーリルコラボバッジが光ります。大学図書館にお越しの際は、ぜひエプロンにも注目してみてくださいね。
図書館で働く人をサポートする株式会社キャリアパワー。どんな会社なのか、営業開発担当の山下さんにお話を伺いました。

山下さん:弊社は人材サービス業として、30年程前に京都で事業をスタートしました。大学や大学図書館の人材派遣や業務委託に特化しています。

人材派遣と業務委託は指揮命令系統が異なり、派遣の場合は図書館の職員が、委託の場合は弊社が指揮をすることになります。法律に関わる部分で複雑なことも多いので、要望があれば大学職員向けの研修も行います。こうしてコンプライアンスに力を入れ、業務の区切りを明確にしています。

図書館業務は大変専門性の高い仕事です。目録の整理から、ILL、学習・教育支援等、専門知識が要求される業務がたくさんあります。専門性を持った方に、ぜひその力を生かしていただきたいと考えています。

弊社は色々な方に門戸を広げています。初心者、若い人、挑戦したい人、ぜひキャリアパワーで一緒に働きましょう。新卒や、未経験で始める方も多いですよ。最初は現場に入る前の研修で、図書館業務のノウハウや、知的財産に関する知識も学んで頂きます。その後現場に入ってからは先輩についてOJTで業務を覚えていきます。経験を積んで、ステップアップしていくことも可能です。

すでにたくさんの方が大学や大学図書館で働いています。やはり本が好きな方が多く、本に囲まれた職場はとても楽しいそうです。

現在は司書の有資格者のみの受付ですが、今後は司書資格取得支援もしていきたいと考えております。ぜひ一緒に図書館で働きましょう。

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ビブリオバトルで子どもの図書館利用率アップ?! 子どもたちが考える読書の楽しみ方

7月の下旬、全国の小学生を対象とした「読書と体験の子どもキャンプ」が行われました。

93名の小学生たちがこのキャンプで、国際子ども図書館の見学等の読書に関する活動とともに、野外炊飯活動を体験しました。

中でも注目は2日目の2つのワークショップです。今話題の「ビブリオバトル」に続き、10班にわかれてグループディスカッションを行いました。

ディスカッションでは、本をどこで読むか、誰と読むか等、様々な視点での白熱した議論が交わされました。

どこで、誰と、どうやって読書すると楽しいのか

グループディスカッションのテーマは、「読書の楽しみを広げよう」。
一人ではなく、周りの人と一緒に本を囲むことで、より一層楽しめると考える子どもが多かったようです。ただ読むだけではなく、読んだ感想を共有したり、本を読んだらスタンプがもらえたり。。
地域の人や家族、小さい子どもやお年寄りと読書をするというアイデアもありました。
街の中に本棚を作って、読んだら本の裏にコメントを書いて交流するのも面白そうですね。ちょっとブッククロッシングに似てるかも。

元々本が好きな子どもたちです。図書館をもっと楽しく充実させたい! という意見もたくさんありました。
また、ほとんどの班に共通していたのが、一つ目のワークショップで行ったビブリオバトルをもっと広げたいということです。やってみたらとても楽しかったそうで、帰ったら友達ともやってみたいと思うようになったとのこと。
最近は図書館でビブリオバトルを実施するところが増えていますね。この組み合わせ、とっても相性がいいと考えた子どもも多かったようで、様々なアイデアが出されました。
子どもたちに大人気のビブリオバトルとはどんなものでしょうか。

ビブリオバトルとは

ビブリオバトルは、「知的書評合戦」と銘打ったゲームです。老若男女問わず、特別な技術が無くても誰でも気軽に参加できるのが魅力ですね。

「ビブリオバトルは誰でも(小学生から大人まで)開催できる本の紹介コミュニケーションゲームです.
「人を通して本を知る.本を通して人を知る」をキャッチコピーに日本全国に広がっています!」

【公式ルール】
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる.
2.順番に一人5分間で本を紹介する.
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う.
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員で行い,最多票を集めたものを『チャンプ本』とする.

このキャンプのビブリオバトルは、少しルールを変更した特別版でした。

通常はその場で語るのがビブリオバトルの暗黙のルールですが、今回、小学生にはそれぞれのおすすめ本について、事前に200文字の紹介文を書く課題が出されたそうです。考えたことを文章にすのもなかなか難しいものです。

ただし、実際にビブリオバトルをする時はもちろん発表原稿なし。プレゼンテーション3分+質疑応答2分のプチバトルでしたが、3分でも時間が余ってしまう子もいたとか。今回は1班10人程度と人数も多く、会ったばかりの人に囲まれての発表は、やっぱりちょっと緊張してしまいますね。

今の小学生がどんな本に興味を持っているのか、気になりませんか? 当時の私には手が出せなかっただろう難しい本もエントリーされています。
各班で選ばれたチャンプ本は、こちらの本のレシピにまとめました

ビブリオバトルがとにかく楽しかった!

やってみたら楽しかったビブリオバトル、自分の身近に取り入れたいという思いは、「読書の楽しみを広げよう」のワークショップにも表れていました。

友達と一緒にビブリオバトルをすることで、読書も友達の輪も広がっていくというアイデア。

家庭でビブリオバトルを取り入れると、お互いの考えていることもわかり、コミュニケーションも図れそうです。

図書館の改善案も出ました。話をしたり、ビブリオバトルしたり出来る場所を作ることで、もっと図書館に行きたくなるとのこと。声を出せると友達との交流も出来ますね。

ビブリオバトルをする場所を「ビブリ場」と名づける班もありました。ビブリオバトルをすることは「ビブる」と言うそうです。たまたま一人が噛んでしまったことがヒントになったとか。図書館に「ビブリ場」を作って、たくさんの人とビブリオバトルをしたいということです。図書館の方々、ぜひ前向きにご検討ください。

図書館がビブリ場になる日はもうすぐそこ

ビブリオバトルの発案者でワークショップ講師の谷口さんも、子どもたちのビブリオバトルを興味深くご覧になったようです。

元々、ビブリオバトルは谷口さん自信が誰かに本を紹介してほしいと思って始めたものだそう。偶然で新しい本との出会いを提供するという意味では、ビブリオバトルと図書館に共通したものがあるような気がします。

実際、ビブリオバトルを実施する図書館が増えています。図書館に行くとその場ですぐに参加できる「ビブリ場」ができる日も近いかもしれませんね。

(杉山@カーリル

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<関連リンク>
知的書評合戦ビブリオバトル公式サイト
小学生のビブリオバトルでチャンプ本に選ばれたのはこれだ!
全国の小学生100人が考えた「夢の図書館」がすごい
青少年教育情報センター
国立青少年教育振興機構
文字・活字文化推進機構

図書館活用のすすめ。暑い夏はクールシェアで乗り切ろう!

暑い日に一人でエアコンをつけるのではなく、涼しい場所に集まって一緒に過ごす「クールシェア」という取り組みが広がっています。図書館もクールシェアスポットとして注目されているようです。

クールシェアは、ただエアコンを消したり、設定温度を上げたりして節電しようという、従来のエコの考え方とは姿勢が異なります。複数人で集まって、時間や活動を共有しながら涼しく過ごすのがクールシェアのポイントだそうです。そこで、クールシェア提唱者の堀内正弘さん(多摩美術大学教授)にお話を伺いました。

きっかけは東日本大震災での電力不足

クールシェアのアイデアは、東日本大震災直後の大学のゼミで学生たちのディスカッションの中から生まれました。当初は計画停電回避プロジェクトとして始まりましたが、ピーク時の電力をカットするためにどうするかを考えた結果、今のクールシェアの形になりました。

2012年度には環境省の施策にも取り入れられたことで、全国に広まりました。

楽しむことで取り組みが広がっていく

これまでの「節電」「省エネ」対策と異なるところは、頑張らない、無理をしないということです。例えば今までは冷房の温度を28℃に設定して節電を、使いすぎの自粛を、と呼びかけられていたのですが、28℃では暑くて結局温度を下げてしまって節電にならないし、そもそも面白くない。

クールシェアは、ある程度人数が集まっていれば、温度を下げてもいいと思っています。出かけたり、人と一緒に過ごしたりすることで気晴らしにもなるし、交流があれば面白いですよね。

出かけなくても、家で自室にこもるのではなくてリビングに家族が集まるのも立派なクールシェア。家族での交流も出来るし、結果的に省エネになります。

クールシェアは皆がハッピーになる仕組み

クールシェア事務局の入口

現在では、公共施設だけでなく、カフェやデパート等もクールシェアスポットとして登録されています。カフェや居酒屋は、クールシェア特典があるところもあります。

デパートや百貨店は元々休憩スペースがあるのですが、そういった場所にただ涼みに来てくださいという案内をしています。涼んでもらうことで、新たな発見があったり、ついでに買い物をしてもらえるかもしれない。お客さんは涼しくて快適に過ごせるし、お互いいいことがあるんですね。

クールシェア事務局はコワーキングスペースなのですが、ここもクールシェアスポットとして登録しています。一緒に仕事をすることはもちろん、キッチンを使って料理をしたり、音楽イベントをしたり、子育て中のお母さんが来てくれてもいいんです。

他にも、自宅の空き室を近所の方に開放して交流するのも楽しめますね。

もちろん、公共施設に行くのも立派なクールシェアです。最近では自治体で推進しているところも多くて、お茶や水のサービスがあったりします。中でも図書館は数が一番たくさん登録されている施設です。

クールシェア、ウォームシェアを世界へ

冬の寒い時期も同じように「ウォームシェア」を提唱しています。一人ひとりが少し行動を変えることで、トータルでエネルギー消費を減らしていく活動。これは全世界で取り組むべき課題です。

地域の人と一緒に楽しみながら、ぜひクールシェア、ウォームシェアを世界に広げていきたいですね。

  *  *  *

シェアマップで近所のスポットを探してみよう

どうでしょう。クールシェア、ちょっと気になってきませんか?
クールシェアを実施している場所は、マップで探すことが出来ます。(モバイル版もありますよ)

ちょっと見てみると図書館の他にも、立ち寄ってみたくなる場所がありそうです。暑い夏、クールシェアで乗り切りましょう。

(杉山@カーリル

<関連リンク>
COOLSHARE,エアコン消して涼しいところに集まろう
シェアマップ
クールシェア・ウォームシェアのすすめ|ECOネット東京62

カーリルのしおりが、海を渡ってロサンゼルスの図書館に!

カーリルのグッズ「しおり」が、米国ロサンゼルスのリトル東京図書館でも配布されています。
ロサンゼルスまで行って写真を撮りたかったのですが、現地から写真が届きましたので紹介します。

まずは、図書館のエントランスから。


キッズゾーンでは、はがきとしおりとステッカーをセットにしてくださいました。しかも、かわいいクリップでとめられています。こちらのセットはおはなし会で配布してくださったそうです。特にお子さんにはステッカーが人気だったとか。

キッズゾーンの窓には「READING is so Delicious」のデコレーションが美味しそうなフルーツとともに飾られています。おはなし会、みんな夢中です。

リトル東京ライブラリーでは、毎月第4土曜日の午後にブックセールを行なっているとのことです。
チラシを見ると、本だけでなくCDやDVDも扱っているようですね。ブックセール会場には意外とたくさんの本がありそう。

日本語の本もたくさんありますね。そして、かわいらしくラッピングされた手作りのお菓子も。

ブックセールの売上は新しい本を購入する資金になるそうです。購入した本にカーリルのしおりを挟んでプレゼントしてくださったとのことです。

図書館のサービスやイベントをPRするために、カーリルのグッズを活用していただき、とても嬉しいです。しおりの活用方法が他にもあれば、ぜひ写真付きでお知らせください!

(ふじた@カーリル
<関連リンク>

図書館デジタル化の波紋、パブリックアクセスと出版は両立するか

※記事タイトルの「オープンアクセス」をより正確に「パブリックアクセス」に変更しました (6/22 17:38)

国立国会図書館が、34万冊以上の著作権処理が完了した本や雑誌をインターネットで公開している近代デジタルライブラリー。この図書館資料のデジタル化をめぐって巻き起こった議論を追いました。

刊行中の本の公開は死活問題

近代デジタルライブラリー、通称「近デジ」が今月になって、インターネットで話題を呼びました。
インターネットに公開されたデジタル化資料が日本出版者協議会の要望により一部が一時公開停止になっているという話です。
この対応をめぐってスラッシュドットTwitterなどインターネット上では、出版社側に批判の声が集まりました。
そこで、公開差し止めを要望した「大蔵出版」の社長、青山さんにお話を伺いました。


当初は正当だという理由で取り合われなかった

大正新脩大蔵経』全88巻が突然近デジ上に公開されたのが2007年。この本は現在も刊行中で、1冊2万円もする高価なものです。国会図書館にすぐ抗議しましたが、著者没後50年を経ており著作権保護期間が切れている、正当だという理由で取り合ってもらえませんでした。

弁護士に相談したのですが、著作権切れの法的根拠があるから難しいとのことで、諦めました。
今年の『出版ニュース』4月中旬号で改めて意見表明をしたところ、国会図書館と会談の場を持つことになり、大蔵出版は日本出版者協議会の一員として出席しました。その結果が今回の発表です。

ヨーロッパでは著作権が切れていても、現実に全集が売られているならば民営を圧迫しないという例もあります。大蔵出版は大正時代に出版された『大正新脩大蔵経』をきちんと復刻して出版するという趣旨の会社。それを否定されたら残るものがありません。国立国会図書館の判断は、この部分を尊重してくれたのだと思います。

批判が続出することは全く予想していなかった

インターネットでの反応は見ていません。著作権が切れているのだから、公開してもよいだろうという批判が続出することは全く予想していませんでした。いくら著作権切れとは言え、現在刊行中で実際書店に並んでいる作品であるということを全く無視して、無断でインターネットに公開すること自体が商業道徳に反するのではないでしょうか。

青空文庫のようなデジタル化にどうこう言うものではない

青空文庫のようなデジタル化プロジェクトについては別段何も思っていません。私が言っているのは、著作権切れになっていても実際に出版社が継続して売っているもの。夏目漱石の作品などと今回とは全然性格が違うので、どうこう言うものではありません。

『大正新脩大蔵経』の現物はずっと売られ続けているし、ワンセット149万円(税抜)もする資料です。本書は1960年~1979年の19年もかけて復刻したもの。昔の本の写真を1枚1枚撮って、本当に手間をかけている。1977年に遺族から著作権も買い取った。遺族との絆もある。そういう意味では、その50年後の2027年までは大蔵出版の著作権保護期間であると考えることもできます。
過去には安い海賊版に悩まされた時期があり、大蔵出版も豪華本から並製本に変更することで価格を抑え対抗してきました。そして今度は「国会図書館がデジタル海賊版を公開する」という事態になりました。

-図書館についてはどう思いますか

大蔵出版の書籍の購入先は多くが寺院。その次が大学図書館で、公共図書館もあります。
県立図書館などは、豪華本を使い古してしまったため展示用として、並製本を閲覧用としているところなんかもあります。図書館に買っていただくのは非常に重要で、利用者が図書館の中で読める、ということは問題ないと思っています。

-今後、近デジや青空文庫のようなデジタル化資料が増えた場合、共存は可能でしょうか

それについてはあまり考えていません。
今回の出版協の申し立てでは、著作権切れでも実際に流通しているものについては、近代デジタルライブラリーで公開しないでほしい旨を国立国会図書館に伝えました。また、著作権者がわからなくなっているものは、最初に復刻した出版者に著作権を付与するべきではないかとも伝えました。

(インタビュー:杉山@カーリル
※『大正新脩大藏經』については大蔵出版が90年代にデジタル化公開の許諾を仏教学界に対して行っており、その結果、SAT大正新脩大藏經テキストデータベースで全文テキストも頁画像も公開されているとのご指摘をいただきました。説明不足があり大変申し訳ありませんでした。(吉本・6/22 18:50)

デジタル化資料をきっかけに紙で復刊

2013年6月20日、彩流社から『エロエロ草紙【完全復刻版】』が発売されました。
実はこのタイトル、近代デジタルライブラリーの閲覧数ランキング1位の人気資料です。それを今回、紙の書籍として刊行することになったのはどういった経緯なのでしょうか。
彩流社の担当、高梨さんにお話を伺いました。

市場に出回ってないのであれば「本になる!」と思った

『エロエロ草子』は昨年の10月頃にFacebook経由で知りました。アクセス数が5ヶ月連続1位をキープしているとか。そんなのがあるんだ、と少し調べてみたら、製本の段階で発禁処分になった本だということがわかり、市場に出回ってないのであれば「本になる!」と思いました。

内容を確認しようと思って近代デジタルライブラリーでダウンロードしてみましたが、中身がどうこう言う前に、文字がはっきり読めなくてイライラするんです。一般の読者も同じ思いをしているのではないかと思って、やっぱり書籍化したいというのが最初でした。

復刻の許可を求めたら怒られると思っていた

国立国会図書館のデータをもらうことは全く考えていませんでした。復刻の許可を求めたら門前払いを食らうのではないか、怒られるのではないか、と思っていました。

復刻のために原本を手に入れたいと思って、神田神保町や早稲田の古書店街を回ったり、研究者に声をかけたりしてみました。しかし、タイトルを聞くと皆「それはない」と即答するんです。しばらく探しましたが見つからなかったので、今年の4月に仕方なく国立国会図書館に行くことにしました。

カラーだということに衝撃を受けた

実物を見たとき、カラーだということに気づいて衝撃を受けました。今、市場に出回っているものは全てモノクロ。当然一般の人もカラーで見たら驚くだろうし、嬉しいはずだと、ますます出版したい意欲に駆られました。
原本は現物はシミだらけでぼろぼろ、破れているページはあるし、糸かがりは外れているし、水に濡れたかのように紙がベコベコになっているところもある。

復刻出版したい旨を申し入れましたが、図書館の役割は資料の提供とともに、後世のために資料を保存することだから、この状態の貴重書は複写許可できないと断られてしまいました。

世の中に「読みたい」という欲求があるのだから、何としても出版したい。別の部署にも依頼してみて、最終的に、デジタル化データはどうしても出すことはできないが、今回だけ特別に原本の複写を許可してもらえることになりました。

原本はひどい状態で退色もしていたので、デザイナーの渡辺さんが80年前の色を想像したり、足りない部分を補って再現してくれました。製作過程はブログで公開しています。

図書館にも置いてほしい

市町村の各図書館にも置いてほしいですね。当時の風俗を知る文化的な資料としても十分価値がある。『エロエロ草紙』というタイトルから青少年に悪影響を与えると敬遠する気持ちもわかるが、隠せば隠すほど、こういった文化が地下に潜ってしまう。国立国会図書館でも公開されているものだから、どこの図書館に行っても見られる状態になっていてほしいです。

権利関係は難しい

近代デジタルライブラリーはモノクロだし、全く別のもの。むしろ宣伝してくれていると思っているくらい。デジタルでは再現できない仕掛けもできたし、今回の復刻版はとてもいいものができたと自信を持っています。
正直なところ、版元には著作権もないし、法律的には全く守られていない状態。今回の復刻に際しても、データ補正などにかなり手間隙がかかっています。できるのならば©(コピーライト)をつけさせてほしいところ。その辺りの権利関係は難しいです。

近代デジタルライブラリーで人気があった別の作品を復刻することも検討したいと思っています。国立国会図書館は敷居が高いと思っていましたが、今回の経験で親しみを感じるようになりました。彩流社自体が、復刻に意欲的な会社でノウハウもある。ぜひやっていきたいと思います。

(インタビュー:杉山@カーリル

改めて図書館と出版を考える

近代デジタルライブラリーに代表される資料のデジタル化は、図書館と出版との関係を考える良い機会になりそうです。今後は、国立国会図書館がインターネットには公開していないデジタル化資料も、公共図書館向けにデータ送信する取り組みが開始されます。

図書館資料のデジタル化が進めば、「建物としての図書館は不要なのでは」という声も多くなるでしょう。国会図書館だけではなく、全国の図書館が、図書館の新しい役割や出版との関係を考えていく必要に迫られることになります。

この問題を巡っては、カーリルの中でもいろいろな意見がありました。デジタル化が進んだ図書館で、自分たちに出来ることは何なのか、さらに議論を深めていきたいと思います。皆さんはどう考えるでしょうか。

(吉本@カーリル

<関連リンク>
近代デジタルライブラリー
エロエロ草紙【完全復刻版】
彩流社
大正新脩大蔵経
大蔵出版
出版協プレスリリース:国会図書館と5日に面談、具体的に成果表れる
国会図書館による著作権切れ書籍のネット公開、出版社側の異議申し立てにより一部を公開停止|Slashdot
青空文庫
国会図書館近代デジタルライブラリーの件で|togetter