2014年4月9日

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カーリルセキュリティアラート「図書館システムのHeartbleed Bugへの対応について」

2014/4/17 9:00 更新 : 脆弱性検出数の推移をアップデートしました

図書館のシステム担当者の皆様へ

OpenSSLの脆弱性(CVE-2014-0160)はパスワードや内部データなどの機密情報を容易な方法で第三者が取得できる、極めて緊急性の高いものです。この脆弱性はHeartbleed Bugと呼ばれ全世界的に対策が進められており、カーリルでは対策が完了しております。

図書館のウェブシステムにおいては、予約などの個人情報を扱う処理の安全性を高めるためにSSLが広く利用されており、この処理にOpenSSLが利用されています。この脆弱性はサーバーの通信内容や機密鍵を第三者が容易に取得することが可能であり、情報が漏洩したとしても一般的にログが残りません。

既に多くの図書館においては対策が進められているものと思いますが、図書館が広くこの問題を認識し対策を円滑化するために、改めて注意喚起をいたします。

なおカーリルでは連携先の図書館システムを対象に簡易的な検査を実施しており、脆弱性が疑われるホストに対しては継続的に追跡をしております。影響が大きいと思われる大規模な図書館については個別にご連絡をしておりますが、脆弱性が疑われる図書館が多く、すべての図書館に個別のご連絡することができません。各図書館においてもただちに状況を把握するようにしましょう。
脆弱性の有無についてはいくつかの確認サイトで簡単に確認することができます。

【図書館システム・ウェブサイトの脆弱性検出数の推移】(対象3492ホスト)
2014年4月8日  19:00時点  178ホスト (うち公立図書館のシステム、34館)
2014年4月8日  21:40時点  174ホスト
2014年4月9日  9:00時点  160ホスト
2014年4月9日  11:00時点  156ホスト
2014年4月9日  16:00時点  150ホスト
2014年4月15日  0:00時点  54ホスト (うち公立図書館のシステム、5館)
2014年4月15日  10:00時点  52ホスト (うち公立図書館のシステム、4館)
2014年4月16日  12:00時点  49ホスト (うち公立図書館のシステム、3館)
2014年4月17日  9:00時点  41ホスト (うち公立図書館のシステム、1館)
※ホストには図書館システムと図書館のウェブサイトがあるサーバー(市役所のウェブサーバー)を含みます。
※公立図書館の集計数は、図書館システムが存在するホストに絞って集計したものです。

脆弱性への対応についてご不明な点がありましたら可能な範囲でご協力が可能です。お気軽にお問い合わせください。カーリルでは、安心して図書館のウェブサービスをご利用いただけるよう、図書館やシステム開発元とも連携して安全かつ先進的なサービスを提供してまいります。

緊急時連絡先 : カーリル 0573-67-8105

2014年3月20日

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「北欧の図書館に行きたくなる話」を聞いてきた

明治大学和泉図書館で「北欧の図書館に行きたくなる話」が開催されました。


北欧の図書館といえば、行ってみたい世界の図書館として時々話題になります。
中央大学職員の梅澤さんの体験談が面白いということで、北欧の図書館に行ったことのある二人の発表者を加えてこのイベントが企画されたそうです。

北欧は日照時間が短いため、どの図書館も外の光をたくさん取り入れられるように大きな窓があるのだそう。これが、開放的な図書館建築につながっているようです。
歴史的な建物でも、図書館の内部は現代に合わせて進化しており、完成当初のクラシックな雰囲気を残した区域と、明るい光を取り入れたモダンな区域が隣り合わせで存在しているとのこと。

さらに大学図書館は市民に開かれているため、特別な手続きも必要なく利用できるそうです。本は読めなくても、観光でもぜひ訪れてみたい場所ですね。

今回は、10館紹介いただいた中から当日会場投票によって選ばれた、「行ってみたくなる図書館ベスト5」を詳しく紹介します。なお、記事中の図書館の写真は、発表者の杉谷美和さん、梅澤貴典さん、松田雄二さんにご提供いただきました。ありがとうございました。


第1位 ストックホルム市立図書館(スウェーデン)・・・梅澤さん発表

今回、北欧の図書館をいろいろ回りましたが、実はこの図書館に行ってみたいがための旅行でした。四角い箱の上に丸いケーキが乗っているよう斬新な形をしているのですが、建てられたのは1928年です。中に入ると、丸いところの壁は360度書架になっていて、本棚が三層に並んでいるのが圧巻です。「今日はこの図書館で勉強するぞ!」というワクワク感がある。このワクワク感が大事だと思います。自分で図書館をつくるなら、そういう演出ができるといいですよね。ここに行けてよかったです。


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第2位 マルメ市立図書館(スウェーデン)・・・松田さん発表

マルメ市立図書館は超有名な建築家ヘニング・ラーセンの設計で、改装した旧館と新館をあわせた広い図書館です。子どものコーナーは靴を脱いで入るようになっており、カラフルでちょっと隠れられるような家具が設置されています。全面ガラス張りで光をふんだんに取り入れられる吹き抜けがあり、これを見た時はとんでもなく感動しました。



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第3位 ウプサラ大学図書館(スウェーデン)・・・梅澤さん発表

図書館は広い場所に建っている大きな建物です。入口を少し奥に入るとムーディな場所があり、ゆったりした閲覧席が並んでいます。ソファの背もたれが高いのは特に意味はなさそうですが、周りの目を気にせずに学べるというのは、女性一人でも安心していられてとてもいいですよね。広い吹き抜けの空間や、螺旋階段、閲覧席を見下ろすような渡り廊下もあって、立体的な空間を演出するつくりになっています。



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第4位 デンマーク王立図書館(デンマーク)・・・梅澤さん発表

デンマーク王立図書館は通称「ブラック・ダイヤモンド」と呼ばれています。外観はその名の通り、真っ黒でダイヤモンドの形をしています。これに関しては賛否両論あり、美しいコペンハーゲンの街にそぐわないと反対する意見もあるそうです。中は近代的なエスカレータがあるかと思えば、すぐ向こうに歴史を感じるカード目録があるなど、古いものと新しいものが融合されている図書館でした。その日の気分や用途によって場所の使い分けができそうです。


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第5位 ヘルシンキ大学中央図書館(フィンランド)・・・杉谷さん発表

この図書館は、日本だと「~だったらどうすうるんだ。」となりそうなところを「~だったらいいよね。」という思想に基づいて空間がデザインされているような印象を受けました。とても開放感がある白を基調とした気持ちのいい空間に、カラフルな家具が置いてあります。螺旋状の階段で上下階の雰囲気がわかりやすく、次の階に行ってみたくなる演出がいい。自動返却仕分け機があって、ガラス壁の向こうの返却作業が見られるようになっています。様子がわかるからか、とてもきれいに保たれていました。


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次回の特集は北米の図書館

この「図書館に行ってみたくなる話」、次回の特集は北米(カナダ、アメリカ)です。開催は夏前、発表者も募集中だそう。話してみたい方、聞いてみたい方、明治大学図書館のウェブサイトTwitterをチェックしてみてくださいね。

(杉山@カーリル

<関連リンク>

2014年1月7日

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図書館の検索画面にある「件名」のひみつに迫る


図書館の蔵書検索システムで「件名」という項目があるのをご存じですか。
個人件名や一般件名などいくつかに分かれていることもあります。

いったいこれ、どうやって使ったらいいのでしょうか。「件名」のひみつに迫るべく、図書館向けの書誌データベースを提供する図書館流通センターで、図書館に納める本の情報を整備している豊田さんにお話を伺いました。



「件名」って何ですか?

豊田:「件名」の前に、まず「書誌」についてご説明したいと思います。
書誌は、その本を探すための様々な情報のことです。タイトルや著者名、出版者、発行年等の基本的な情報の他にも、本の内容や分類、著者のプロフィール等があり、本によって情報の項目数は異なります。件名もこの中の項目のひとつです。

今のような情報検索システムが普及する以前は、目録カードがこの役割を果たしていました。若い人は目録カードを知らないかもしれません(笑)

−−目録カード知ってます! 以前図書館のカウンターの近くに置いてあった、小さいカードですよね。ずらーっと並んでるやつ。

豊田:そうです。あのカードに載っている情報が書誌です。現在ではもっと項目数も多く、詳しくなっています。コンピュータで検索できる書誌のことをMARCと言います。"MAchine Readable Cataloging"の略で、マークと読みます。
(MARCについてもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。)

−−なるほど。豊田さんはその書誌を整備する仕事をなさっているんですね。

豊田:はい。私は普段、発売前の本のMARCを作る部署で、「分類」と「件名」の作成を専門に担当しています。「分類」はその本がどの分野に属するかを示すもの、「件名」はその本が何について書かれたかを端的に表すものです。

例えば、お菓子の作り方だと件名は「菓子」、フェイスブックに関する本の件名は「ソーシャルネットワーキングサービス」となります。

本の内容をわかっていないと入力できないので、書誌を作る部署の中でも一番本について知っているかもしれません。


書誌には色々な項目があるみたいですが、「分類」と「件名」だけを担当しているんですか?

豊田:はい、分類と件名だけを毎日チェックしています。一日で数十冊の本をチェックすることになります。

分類と件名の他にも、各項目にはそれぞれのエキスパートがいます。タイトルや著者名、出版者、発行年等の基本的な情報を担当するグループ・著者調べを担当するグループなどに分かれて作業をしています。各担当がそれぞれの項目を入力し、それを様々な形でチェックして、ようやく1冊分のMARCが出来上がります。

MARCを作っている部署は、全部で100人くらいいて、分類と件名を担当する私の班は10人くらいです。


−−すごい人数ですね。ところで「件名」って、本のタイトルのことじゃなかったんですね。違いがよくわかってませんでした。

豊田:そう、別物なんです。メールだとsubject=件名を指すので、一般にはわかりにくいかもしれませんね(苦笑)

件名は、その本に何が書かれているかという主題を明確にするためのもの、いわば本のテーマです。主題が複数に渡る場合は、最大9件まで入力することがあります。

児童書の場合は「学習件名」を入力します。本の中に複数の主題があることが多いので、目次の数だけ入力するような場合もありますね。こちらは最大99件までです。

−−なぜ「主題」ではなく「件名」という名前なんでしょう。

豊田:「件名」は、「主題を簡潔な言葉で表した」もので、件名標目表により、使用する言葉を決定します。「主題」そのままではないので、「主題」と区別する意味で「件名」という名称がつけられたものと思われます。

−−うむむ、そうだったんですね。因みに、件名って今いくつくらいあるんですか?

豊田:そうですね・・・確か98,000件くらいです。世の中の動きや流行とともに、日々新しい件名が追加されています。分類や件名の入力をしていると、世間のトレンドを知ることができて面白いですよ。


−−件名というのは、どうやらウェブで言うところの「タグ」と同じような役割みたいですね。これは活用すると、資料探しがぐっと楽になりそうな予感。。

「件名」は、誰でも使えますか?

豊田:あまり知られていませんが、実は件名は調べものの時にとても便利です。

例えば通常、調べたいことのキーワードを入力して本を探すと思うのですが、それだとキーワードに少しでも関係のあるものが全て結果に表示されてしまい、実際読んでみると、調べたいことには触れられていなかった、なんてことも少なくありません。

そこで件名での検索が有効です。主題(テーマ)で探すので、目的の本に素早くたどり着くことができます。

また、児童書の場合、1ページだけそのことが触れられているということもよくあります。1冊ずつ本の内容にあたるのは大変ですが、学習件名で予め絞り込んでおけば、必要な情報を効率よく得ることができます。

−−「件名」での検索はどうやったらできますか?

豊田:図書館での蔵書検索システムで検索をする際に利用できます。詳細検索画面を開いて、「件名」の覧に調べたい件名を入れて検索するだけです。そうすると、調べたいテーマに関する本だけが表示されますよ。

成田市立図書館の蔵書検索画面

−−なるほど、全然知りませんでした。

豊田:件名での検索はとっても便利なんです! でも件名はあまり知られていなくて、使われていないのが現状です。図書館によっては件名での検索ができない場合もあるみたいですが、的確に資料を検索できるので、ぜひ活用して頂きたいと思っています。

−−ありがとうございました。件名検索で調べものも効率的に進みそうですね。


カーリルで件名を使うには

カーリルの検索窓に「bookportal:(件名)」と入れて探してみてください。
図書館流通センターの運営するTRCブックポータルとの連携により、カーリルでも件名での検索ができるようになりました。面白い本が見つかるかも。



(杉山@カーリル





<関連リンク>
株式会社図書館流通センター
TRCデータ部ログ
件名標目委員会|日本図書館協会
「件名」に関する本をカーリルでさがす

2013年12月24日

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図書館にマーケティングを! アメリカ公共図書館の取り組み

図書館の予算が減少し、図書を購入したり、スタッフを雇ったりするのが難しくなっているのはどうやら日本だけではないようです。

アメリカのニュージャージー州で、図書館のサービス継続のためにトレンド分析やマーケティングを行った経験を持つアルカ・バトゥナガーさん(現・米国大使館情報資料担当官)が「アメリカの公共図書館におけるトレンド分析とマーケティング」という講演を行いました。この講演から、これからの図書館運営のヒントを探ってみたいと思います。

アメリカの公共図書館におけるトレンド分析とマーケティング」は「第2回アメリカンシェルフ講演会」として、千代田区立日比谷図書文化館主催、米国大使館広報・ 文化交流部共催で行われたものです―主催者より補足(2013年12月27日)



必要に迫られてマーケティングに取り組む


アメリカの図書館では、所蔵資料の冊数、貸出数、利用時間、パソコンの台数など様々な調査資料が図書館の公式サイト上に公開されており、誰でも参照できるようになっています。

バトゥナガーさんが当時勤務していたアメリカニュージャージー州立図書館でも多くのデータを収集・公開しており、これを元に、州からの補助金(図書館の運営資金)が効果的に使われているかの分析をするのが仕事だったそうです。

図書館の人、商品、サービスの分析から始まり、たくさんのデータと格闘する毎日を送っていたある日、そもそもなぜこのような業務が必要なのかをふと考えたとか。

ニュージャージー州立図書館の資料ページ

そのとき、全米図書館のデータがあるIMLS(Institute of Museum and Library Services)のデータを分析することで、何か理由が見つかるのではないかと思ったそうです。

いつでもどこでも変わらないのは”図書館の公共施設としての責任”


IMLSで過去30年間の図書館のデータを見ると、利用者、コレクションの内容など色々なものに変化がありますが、変わらないのは「図書館の公共施設としての責任」でした。これはアメリカの図書館だけではなく、世界中の図書館に言えることです。

OCLCによる図書館イメージの調査では、図書館に必要なものは40%が本、残りの60%は時代に合わせた施設やサービスであるという結果が出ていたそうです。つまり、色々言われてはいても、図書館に本が残ることが必要だということがわかりました。

では、図書館でどんなサービスを提供していくべきかを検討することにしました。

提供すべきサービスは「客がなにをほしがっているか」から見えてくる


これまでの図書館サービスは「図書館が何を提供したいか」によって行われてきました。しかし、それでは利用者は離れていくばかり。これからは「お客(利用者)が何をほしがっているか」の視点からサービス提供を考えていかねばならない、ということに気づいたそうです。

IT技術の発展やソーシャルメディアの普及により、情報への要求も変化してきています。例えばお客が情報をほしいと思ったときの要求にはこんなものがあります。

  • 全部まとめた情報がほしい
  • 自分にとって価値のある情報がほしい
  • 今すぐにその場で情報がほしい
  • 自分に必要のない余分な情報はいらいない
  • 自分のいるところまで届けてほしい

ITが普及してきたとは言え、依然として紙の本のニーズは高いままです。そこで世界最大規模のシアトル図書館では、自転車で公園などに本を持っていく取り組みを始めました。図書館に来てもらうのではなく、ニーズのあるところに図書館が行くという発想ですね。

シアトル図書館の取り組みを伝える"Book Patrol"のサイト

図書館に行かないのは、図書館のサービスを知らないから


ところで、図書館を利用している人は本当に図書館のサービスを知っているでしょうか。OCLCの調査によると、回答者のうち91%が図書館を利用していましたが、そのうちどのようなサービスがあるのかがわかっている人はたったの22%でした。市民の図書館への認識が下がっているということです。

図書館の認知度を高める責任があると感じたのはこの辺りからだったそうです。

図書館ブランドを立ち上げて、市民のための組織に


2007年から2009年の間、バトゥナガーさんはニュージャージー州立図書館の「図書館発展局」という部署に所属し、資金不足による図書館閉鎖の危機にどう立ち向かうかの対策を講じていました。

改めてマーケティングの概念を活用し、市民の意識を図書館に向け、認知度と利用率を上げて運営資金を獲得するために、図書館ブランドを立ち上げることにしたそうです。

マーケティングの結果、リーマンショックによる失業者問題が大きいため、図書館でこの手助けをすることにしたとのこと。

アメリカでは履歴書の提出にパソコンが必要なため、図書館内で利用できるパソコンの台数を増やす、地元の企業や労務省などと協力して館内でジョブフェア(就職説明会)を行う、求職者のためのポータルサイトをつくるなど、職探しの支援サービスを重点的に行いました。

図書館が運営する求職ポータルサイト

あるときバトゥナガーさんがスーパーで買い物をしていると一人の女性が近づいてきて、「この人が私に仕事を見つけてくれたのよ!」と叫ぶ場面があったそうです。図書館の支援が実ったことを感じた瞬間だったといいます。

また図書館で何ができるかをお知らせする"I LOVE NJ LIBRARIES"というポータルサイトもつくったそうです。

ただサービスを提供するだけでなく、広く知ってもらうことが重要


もちろんこの成功の裏には、たくさんの仕掛けがありました。バトゥナガーさんの考える大切なポイントをまとめました。


  1. 利用者のニーズを把握する(トレンドの分析とマーケティング)
  2. 図書館だけでやらない。パートナーと手を組む
  3. 全てのチャネルを使って情報を発信する
  4. 図書館員の意識を変える。研修を続け、考え方を共有し、流れをつなぐ
  5. 運営資金獲得のための仕掛けをつくる


1.利用者のニーズを把握する(トレンドの分析とマーケティング)

立地や人によって、図書館に求めるものが違います。ニュージャージー州立図書館が求職者向けのサービスを行ったように、ニーズにあったサービスを提供する必要があります。

2.図書館だけでやらない。パートナーと手を組む

図書館だけでできることは限られます。例えば求職者向けのサービスでも、履歴書の基本的な書き方を伝えることはできますが、業界ごとにポイントを絞ったアドバイスは難しい。地元の企業と手を組んで、それぞれにメリットのある関係を築くとうまくいきます。

またニュージャージー州立図書館では、シャイな人が多い図書館のために、マーケティングの神様と呼ばれるSeth Godin氏を呼んでキャンペーンの戦略を練ったり、図書館情報学の講座を持つ大学とコラボしたり、広告にセレブを起用するということもやったそう。

3.全てのチャネルを使って情報を発信する

プレスリリース(お知らせページ)だけではなく、メールマガジンやブログ、ソーシャルメディアを活用する。また、図書館員自身が広告塔となるのも有効です。

スーパーマンならぬ"super librarian"

4.図書館員の意識を変える。研修を続け、考え方を共有し、流れをつなぐ

アメリカの図書館員も、静かでシャイな人が多いそうです。現状を変えるために、図書館員の意識も変えていく必要があります。図書館員がストーリーを語る活動を行ったり、頑張った図書館員に賞を授与してモチベーション維持をはかるのも有効だそうです。また、大きな流れをつないでいくために、継続した研修も必要ということでした。

5.運営資金獲得のための仕掛けをつくる

図書館のさまざまな活動が認知されれば、運営資金の獲得に一歩近づいたといえます。更に広く、予算配分を決定する議員の人たちにも図書館の活動を知ってもらうために、図書館の活動を短くまとめたカードを常に携帯し、いつでも渡せるようにしておくととても良いそうです。

アメリカではALA(アメリカ図書館協会)のウェブサイト上で、このカードやその他の図書館のマーケティングツールが誰でもダウンロードできるようになっているとか。

できることはたくさんある


さて、ここまで見てきたニュージャージー州立図書館の例は、アメリカだからできたことでしょうか。
質疑応答の時間には、様々な質問が出ました。

バトゥナガーさんは言います。アメリカの図書館員もシャイで内向的な人が多いが、少しずつ意識を変えてここまでやってきた。やり方がわからないなら専門家に頼ればいい。資金がないなら、獲得のために動けばいい。一部の利用者のためだけにニーズを絞ったサービスが難しいとは言え、すべての利用者のためのサービスなんてできないのだから、絞り込むしかない。結果的にそれが功を奏するものだ。

ニュージャージー州立図書館でもすぐに結果が出たわけではなく、「図書館なんて」と言われて、たくさんの失敗や辛い思い、試行錯誤を繰り返しながらこのような結果を出すことができた。短期的な結果を見るのではなく、長期的に見て効果があるようなものに取り組んでいくことで、良いサービスにつながっていくと思う、ということでした。

図書館のプロモーションという点では日本でもすでにいろいろな取り組みが始まっています。それらの取り組みのベースとして、マーケティングは欠かせないものです。そのためにも日本では図書館の統計データのオープン化も重要であると感じました。

(杉山@カーリル



<関連リンク>
アメリカの公共図書館におけるトレンド分析とマーケティング|日比谷カレッジ
講演会「アメリカの公共図書館におけるトレンド分析とマーケティング」 参考資料
米国大使館レファレンス資料室|カーリル
ニュージャージー州立図書館
ALA(アメリカ図書館協会)