2012大学読書人大賞が決定!

大学生の、大学生による、今若者に一番読んでほしい本を決める「大学読書人大賞」。
2012年の大賞を決定する公開討論会が、4月21日(日)に行われました。
日本に数ある文学賞の中でも、一般読者によって選ばれるのはこの「大学読書人大賞」だけ。
その文学のお祭りに、今年もカーリルが取材に行って来ました。

(大賞候補作一覧や、候補作決定までの流れはレシピ「2012大学読書人大賞」をご覧ください)

今年の公開討論会会場は、千代田区立日比谷図書文化館です。
日比谷公園の中にあるこの図書館、上から見ると建物が三角形。
建設予定地が三角形だったから、自然と三角形の建物になったんだとか。

運営は全て大学生の手によって行われており、図書館の入り口では委員の学生さんが出迎えてくれます。

図書館に入って正面の階段を下りると、会場の大ホール。
観覧者は受付を済ませて中に入ります。

受付には、大賞候補作がずらり。

討論会は、推薦者からのプレゼンテーションの後、登壇者全員での討論が行われます。
以下、推薦書と推薦文、簡単な討論の内容をご紹介します。

推薦書『馬たちよ、それでも光は無垢で
推薦文「タイムマシン的書籍として」by 法政大学もの書き同盟 古味祥吾さん

「この作品に面白さがあるか」それを問われたならば、私は「貴方は一体何をもって本を面白いと判断しているのか」と一昼夜を通して聞き出さなければならないだろう。

東日本大震災について小説という形で読む意味があるのか、震災の訳のわからなさが100%表現できているのか等、震災の体験に焦点を当てた議論が展開されました。

推薦書『青年のための読書クラブ
推薦文「全ての「私たち」に贈る」by 京都府立大学文藝部 井上大地さん

『青年のための読書クラブ』――この作品が描いているのは、まさに「私たち」である。過去に「そうであった」私たちであり、「そうありたかった」私たち、もしくはこの先「こうあるかもしれない」私たちである。

誰にでもあるかもしれない”黒歴史”を追体験する必要があるのか、今この大学生のときに振り返る意味は何か等、笑いを交えながら厳しい意見が交わされました。

推薦書『天帝のはしたなき果実
推薦文「向き合うことについて」by 関西大学現代文学研究部 和田晃さん

まず、想像してもらいたい。貴方に親友がいたとする。そして貴方はその人のことなら何でもわかっていて、何から何まで知っている。さらに、相手も自分のことを100%理解してくれている。そういう想像を。

真剣にわかろう、わかり合おうとする事が大切だと思う、しかし読みにくい文体でこの長い物語を読み切るのは難しいのではないか等、いかにこの本を読みきるのかに焦点を当てた討論が行われました。

推薦書『図書館戦争
推薦文「図書館戦争(笑)」by 立教大学文芸批評研究会 藤掛伸さん

はじめに、図書館で戦争をしているという状況を考えてみよう。無数の棚に本たちが静かに並び、そして市民が静かに本を読む空間である図書館。そんな図書館という空間だけが、平和なこの日本の中で唯一戦場になる――これだけならギャグである。

本が嫌いな人にも本を巡る戦いの話を薦めるのはなぜか、マクロの視点とミクロの視点はどちらが大切で必要なのか等、現代社会をどう見るのかという方法論も提示されました。

推薦書『ハーモニー
推薦文「伊藤計劃という「視点」」by 中央大学文学会 佐貫裕剛さん

あなたには、憧れの作家がいるだろうか。魂の中枢に刻み込まれた、座右の書があるだろうか。私にはある。伊藤計劃と、彼の遺したその作品群だ。

この作品は一般に「現在」について書かれたSFだとはみなされないのではないか、なぜ今、3.11の前に亡くなった作家の作品なのか等、”今”をキーワードとしてそれぞれの見解が示されました。

推薦書『ビブリア古書堂の事件手帖
推薦文「全ての本好きに捧ぐ。」by 大東文化大学國文學研究会 中村嘉音さん

古い本には中身としての物語だけではなく、本そのものの物語がある。活字が全く読めない五浦大輔は古書店の美人店主篠川栞子と出会う。そこから古書に纏わる物語が始まる。

本を読まない人に、たくさんの本が出てくる物語を薦める理由は何か、最後に出てくる「本好きじゃない人にはわからないから」という台詞に興ざめした等、本好きの学生ならではの意見が多く出されました。

全ての発表が終わった後は、観覧者も一緒になって議論が行われました。
会場からもたくさんの意見や疑問が出て、活発な意見交換がなされました。

そして、大賞の決定です。
登壇者が自分の推薦作品以外に得点をつけ、最高得点を獲得した作品が「大学読書人大賞」となります。

今年の最高得点は、著者への愛に溢れた論理的な発表が印象的だった『ハーモニー』が獲得、大賞に決定しました!

討論会のコーディネーターをなさった永江朗さんからは、震災後に、3.11を経験せず亡くなった作家の作品が選ばれた事には意味があるだろう。年々大学読書人大賞のレベルも上がっており、大変喜ばしく思う、という講評がありました。

大賞の推薦者、佐貫さんにお話を伺いました。

敬愛する伊藤計劃さんの作品が大賞に選ばれて本当に嬉しいです。
こんな作家がいたという事を、たくさんの方に覚えていてほしいと思います。とのことでした。

伊藤計劃さんの著書の中では、昨年度の大賞最終候補にあがっていた『虐殺器官』が一番好きなのだそうです。こちらも是非多くの方に読んでもらいたいとのこと。要チェックですね。

最後に、実行委員長の森希衣さんと副委員長の北虎大樹さんにお話を伺いました。

大役をやりきる事ができて、ほっとしています。やったー終わったー! という感じです(笑)
今年は推薦文も今までの3倍も集まりましたし、会場からもたくさん質問や意見が出て、とてもいい討論ができたと思います。
運営委員の出席率がなかなかあがらない等大変な事もありましたが、すばらしい大賞だと思うので、ぜひ文芸サークルの皆さんには、下の代にどんどん引き継いでもらいたいと思います。

 * * *

例年、受賞作の著者を招いて行われる贈賞式ですが、今年の大賞の伊藤計劃さんは既に物故者。どなたを招いてどのような式にするのか、実行委員の企画が楽しみですね。

贈賞式は6月の予定。
公開討論会に参加できなかった学生さんも、是非参加してみては?

<関連リンク>
最終候補作をまとめて検索! 2012大学読書人大賞|カーリル・レシピ
大学読書人大賞公式ウェブサイト
大学読書人大賞 on Twitter
2011大学読書人大賞|カーリル・レシピ
「大学読書人大賞」公開討論会に行って来ました|カーリルのブログ
洋書の森に行ってみよう & 「大学読書人大賞」贈賞式

今までにない新しい図書館が渋谷にオープン! 本棚をシェアし、人とつながるシェアライブラリー

2012年5月、渋谷に新しい図書館がオープンします。
その名も”co-ba library”。
図書館蔵書検索サイト「カーリル」としては注目せずにはいられません。

「co-ba library」は、作家別でも、ジャンル別でもなく、時系列別のどれでもない。本の提供者別に個性的な本棚が並ぶ、みんなでつくっていく「図書館」です。

どうやら私たちの知っている図書館とはちょっと違うようです。
新しい図書館というだけでもワクワクなのに、何かが始まるという期待でドキドキ。

早速、co-ba library設立の背景から構想まで、図書館を運営する株式会社ツクルバの中村真広さん(27)にお話を伺いました。

 *  *  *  *  *

-カフェのオープンに関わったことが、ツクルバ設立のきっかけに

ツクルバの運営メンバーは元々知り合いではあったのですが、それぞれ別の仕事をしていました。僕は元々不動産ディベロッパーを経てミュージアムデザインの会社勤務。ただ、面白いことしたいねという話はつねにしていて。そんな時、ちょっとしたきっかけで、池袋にカフェをオープンする仕事に携われることになったんです。立ち上げから関わって作り上げてみたら、やっぱり面白い。枠組みから「場」をつくっていくこと。これがやりたいことなんだなと思って、本格的に取り組んでいこうという話になりました。この経験が、ツクルバを設立するきっかけになりました。

-空間とコミュニティをデザインする

ツクルバは不動産・建築出身の2人で設立した会社なんです。不動産的な枠組みから空間までを設計して、世の中にまだないものを作り出していきたい、と思っていました。しかし、場所を用意して、はい終わりでは、今までの不動産業とあまり変わりがない。そこで、「コミュニティ」をデザインしていくことが必須だと感じるようになりました。「空間とコミュニティを同時に設計していく」会社なんです。その手始めとしてコワーキングスペース「co-ba」をつくりました。

-ソーシャルメディアを利用してコミュニティを作り上げていく

このco-ba、実は内装の設計はもちろん、施工も自分たちで手がけました。入居前からCAMPFIRE()やFacebookでコミュニティを作りながら空間づくりを進めていったんです。ソーシャルメディアを使いながら空間をつくっていくというのは、既存の開発業者にノウハウがない。そこを我々若い世代がやっていこうと。そういうところも含めて全て手作りで、施工の際には、せっかくオーナーさんがきれいにしてくれていた内装をバリバリ剥がして、その上に板を貼ったりもしたんです(笑)

-コワーキングスペースとしての「co-ba」

co-baはコワーキングスペースです。コワーキングスペースというのは、ただの場所ではなく、そこを利用する人が相互交流をしたり刺激をもらったりしながら、自分の持っているスキルが誰かの「スペシャル」になるような、情報やスキルの交換ができる場所だと考えています。co-baは固定席と自由席があって、今奥で議論している人たちがいる辺りは固定席です。自由席は、午後の3時頃から来て作業する人が多いですね。co-baは壁が一面黒板になっているので、ここに自由に書き込んで自分をアピールしたりもできる。それから、co-baのポイントは一続きになった机です。自分でもフリーでやっていた時期があるんですが、一人で作業しているととにかく思考が偏ったり、気持ちが落ちてしまいがち。そこで、人と話をしなくても、頑張っている人の側でやっているとか、議論の声が聞こえるというのがモチベーションにつながると思ったんです。

-co-baのコミュニティを可視化したいと思った

co-baを運営していく中で、コミュニティが広がっていき、たくさんの方に話をする機会ができました。しかし、co-baにはどんな人がいるのかという質問に対しては「IT系の人が多い」「デザイナーやライター」などといった無味乾燥な表現になってしまう。もっと人の体温が感じられる属性の表現がないかと考えていた時に、本棚が目についたんです。co-baの利用者の皆さんが持ってきてくださった本を並べてあるのですが、それぞれの元の持ち主を予想すると大体当っている。似たような趣味の人もわかってくる。人となりが本棚に表れるということに気付いたんです。

-コミュニティ内の交流のきっかけとしての本棚

co-baの入居者が増えていく中で、入居者同士だけではなかなか自然と知り合えないという状況が出てきました。日本人は、アグレッシブに人と接していこうという人がそこまで多くない。そう考えていた時に、入り口のところに並んだ本が目につきました。これを見て、提供者別に並ぶ本棚があったら、交流のきっかけにもなるし面白いのでは、と思いつきました。例えば「この人とは趣味が合いそうだ」とか「この人のことよく知らないけど、今回の仕事でどうしてもこの本の内容が必要だ」とか、本棚の提供者の属性が可視化されると思ったんです。本棚の集合体を作れば、結果的にco-ba自体の可視化、コミュニティの価値が可視化されます。そんな思いがあって、co-ba libraryを作りたいと考えるようになりました。

-図書館を通じてオープンなコミュニティにしたい

きっかけはもう一つあります。co-baは会員制のスペースで、エントランスにも鍵がかかっているので、ふらっと立ち寄るにはちょっと閉鎖的だと感じていました。もちろんコミュニティとして閉鎖的にすべき部分もあるので、これは仕方ないことではあるのですが。しかし、僕らはもっと街に開かれた場所をつくりたいとも思っていたんです。人の色が混じってグラデーションになるような空間が理想だなって。そこで、もうちょっと気軽に来られる場所として、街に向かって開かれたlibraryがぴったりだと思ったんです。

-ふらっと立ち寄って、自由に使うことができる空間

今日作業したいなとか、資料が必要だとか、インターネットを利用しながらゆっくりしたいとか、誰かとしゃべりたいとか、そういうときにふらっと立ち寄って、利用してもらえるような場所にしようと考えています。co-ba入居者のtwitterを見て、その人の本棚を覗いてみたいなんていうのもアリです。予約も何もいりません。カフェのような感じで使ってもらえます。もちろん会員になってもらってもいいですし、一日だけの利用も大歓迎です。

-co-ba libraryでは誰でも自分の本棚を持てる

このlibraryでは、co-ba shibuyaの既存会員の人が作る本棚の他に、library会員の本棚を作りたいと考えています。libraryはコワーキングスペースのco-ba会員とは別の層が使ってくれると思ってるんですよ。単純に本が好きで、マイ本棚を持てるならやってみようかなという、本好きの人。あとは、本棚を持たないまでも、眠っている本を提供したいという人も出てくるのではないかと考えています。その人たちに提供してもらった本は「パブリック本棚」に置いても面白いんじゃないでしょうか。無所属みたいな感じで。

-色々な世代の人たちに多様な本棚を作ってほしい

co-baには20~30代くらいの若い人が多いのですが、libraryには年配の方にぜひ本棚を持ってほしいと思っています。「若い人に読んでほしい」「起業の際にはこれを読んでおけ」「ターニングポイントの時に読んでいた本」なんていうテーマで選んでもらえたら嬉しいですね。100名くらいが本棚を持つことを想定しているので、本当に様々な「色」が出てくると思います。実用的な本でもいいし、永遠の名作でもいいし。本棚にタイトルをつけると面白くなるかもしれませんね。

-親子連れがやお年寄りが安心して利用できる場所としても

図書館というと、静かにしないといけないイメージがあるんですが、co-ba libraryはあちらで雑談をしている人がいて、こちらでは親子連れが絵本の読み聞かせをしているという、にぎやかな空間であってもいいと考えています。子どもからお年寄りまでが集まれて、コワーキングスペースと同じように、そこから新しい何かが生まれていったら嬉しいですね。

-利用受付開始は4月中旬~下旬予定

co-ba libraryの利用受付(会員登録)開始は4月中旬~下旬頃開始を予定しています。CAMPFIRE()でも支援者募集中です。ここだと利用チケットを安く買えるので、ご興味のある方はぜひ。利用料金はまだ決定ではありませんが、1日のみの利用2,000円程度~や、月額会員の設定などを想定しています。

 ⇒4月15日(日)から利用申し込み受付開始!
  プランや料金など詳しくはco-baウェブサイトをご覧ください。(4/13追記)

-「図書館」って言ってしまっていいんでしょうか

実は、立ち上げてから図書館について勉強していて、「これって『図書館』って言ってしまって大丈夫だろうか」と思い始めたんです。図書館界隈の方に怒られちゃうかなと(笑) 今図書館学の本をたくさん集めて勉強しています。詳しい方にお話を聞きたいですね。

-時代とともに移り変わっていく図書館をつくる

これから本がどんどん電子化されていき、図書館はストックとしての空間というだけでは役割を果たさなくなるでしょう。実空間として何をしていくか、何を求められていくのかを考えることが大切になってくると思います。例えば人によってキュレーションされた本が並んでいて、自分の趣味嗜好とは違うジャンルに触れることでノイズを吸収していく。人にひもづいた情報が並んでいて、その情報がどんどん移り変わっていくようなものが必要になってくるんじゃないでしょうか。5年後、10年後のco-ba libraryはメンバーが変わって、ラインナップもガラッと変わっているはずです。そういうフローの図書館、時代に合わせて変わっていく本棚が並んでいる図書館ができたら面白いと思っています。そういうノイズが面白いと思ってくださる方、ぜひ遊びに来てください。お待ちしています。


(左:代表取締役CEO 村上浩輝さん 右:代表取締役CCO 中村真広さん)

 *  *  *  *  *

co-ba libraryを、街に開かれたコミュニティにしたいと熱く語ってくださった中村さん。
どんな図書館ができあがるのでしょうか。

利用受付の開始はWebサイトでも告知されますが、興味があって絶対に利用するぞという方にはCAMPFIRE()での支援がオススメ。利用券がもらえる上、蔵書に名前が刻まれるなど一緒にコミュニティを築く気分が味わえます。

また、図書館内装工事の様子の24時間中継も始まりました。
毎日チェックして進捗具合を確認するのも楽しいかもしれません。
中継はこちらでご覧になれます。

co-ba libraryのオープニングレセプションは5月13日(日)の予定。
利用できる日が待ち遠しいですね。カーリルも応援しています!

()CAMPFIRE … クリエイターのアイデアを実現するための創作費用を、共感した人々から少額で募れるウェブサイト。co-ba libraryもここで設立資金の一部支援を募っている。

<関連リンク>
株式会社ツクルバ
co-ba library
CAMPFIREでco-ba libraryを応援する!
co-baとco-ba libraryの利用プランを見る

夜の図書館で何が。ぬいぐるみおとまり会に潜入!

夜の図書館ではぬいぐるみたちが楽しく過ごしているらしい。
8月20日(土)、渋谷区立こもれび大和田図書館で「ぬいぐるみおとまり会」が行われました。
夜の図書館で一体、何が起きているのか? 今回、カーリルは特別に潜入取材を許されました!
ちなみにこの「ぬいぐるみおとまり会」、国立国会図書館の図書館ニュースサイト、カレントアウェアネスポータルで紹介されたことをきっかけに日本の図書館でも話題を呼んでいます。自分のお友達のぬいぐるみが夜の図書館を満喫するなんて楽しそう!

ここからはこもれび大和田図書館のおとまり会の様子をレポートします。

おとまり会の案内は児童コーナーの読書机の上や、貸出カウンターにも。

おとまり会に参加するぬいぐるみたちは、3時からのおはなし会に子どもたちと一緒に参加。

その後記念撮影をして、図書館に預けられます。

夜8時、図書館が閉館すると、いよいよぬいぐるみたちの活動が始まります。

今回はスタッフが3班に分かれて撮影することになりました。

それぞれどのぬいぐるみを担当するか選びます。

児童コーナーや閲覧席、書架の間で遊んでいるぬいぐるみたち。

自動貸し出し機を使っている子も。







大型絵本を読んだり、iPadを使ったり。





本棚によじ登ったり、貸出用のバーコードリーダーを使うぬいぐるみまでいます。





写真が撮れたら、PCにデータを取り込んで子どもたちに渡す写真を編集します。

子どもたちに渡す写真が完成。ぬいぐるみたち。素敵!

最初にテンプレートを作っておいて、撮影した中から何枚か写真を選んではめ込んでいくんだそうです。

ぬいぐるみや子どもの年齢に合わせた絵本をセット。

選んでいる図書館員さんも楽しそう。

ぬいぐるみは翌日、持ち主に返却されます。

その際、図書館員さんたちが選んだ絵本を「こんな絵本を読んでみてはどうですか? 昨夜ぬいぐるみが読んでいたよ」と、一緒に渡すそうです。

ぬいぐるみをきっかけに、もっとたくさんの本と触れ合ってほしいという思いから始めたということでした。

実は図書館員が一番楽しんでいた、ぬいぐるみおとまり会、いろんな図書館に広がるといいですね。

翌日の子供たちの歓声が気になります。

カーリルが文学フリマに参加。未来の作家さんに会ってきました

6月12日(日)、第12回文学フリマが開催されました。
文学フリマはプロ・アマを問わず誰もが書き手・読み手として参加できる文学のイベントです。今回は出店者数約500ブースと、多くの書き手が集まりました。


早稲田文学さんのブースにカーリル”HappyBag”も仲間入り

カーリルのフライヤーと、カーリル・レシピも載っているWBも配布。皆さんゲットできたでしょうか?

当日はあいにくの曇り空でしたが、開場前からたくさんの人が列を作っていました。
「文学」というと堅いイメージがありますが、出店者も参加者も老若男女様々。
入場無料で気軽に参加できるのも魅力ですね。


早稲田文学編集室ブース 開始5分で長蛇の列

今回は震災チャリティとして、早稲田文学編集室さんでは2つのイベントを企画。
一つはオークション。
対談に参加した女性作家たちのサインも入った阿部和重氏の近刊『和子の部屋』の予約権や「早稲田文学2」「早稲田文学3」刊行時の著者・関係者サイン入りパネル、朝吹真理子氏の座右の銘入り色紙が出品されました。
もう一つはチャリティサイン会。
会場での『早稲田文学』購入者全員に、豪華な作家陣が直接サインしてくれるというものです。
朝吹真理子氏、阿部和重氏、川上未映子氏、中村文則氏、中森明夫氏、松田青子氏、村田沙耶香氏、市川真人氏に加え、当日飛び入りで青木淳悟氏も参加なさって大いに盛り上がりました。


サイン会にも長蛇の列


笑顔でサインなさる作家の方々

サイン会は大好評で、お笑いコンビ「ピース」の又吉さんも列に並んでサインをもらってらっしゃいました。私ももちろんサイン頂きました♪


早稲田文学3号を手にする又吉さん


カラフルで楽しくなるサイン

会場には、たくさんの大学生も書き手として参加していました。
次代の文学を担う世代が元気なのは嬉しいですね。
彼らのブースにもお邪魔してきました。

例 1)団体名 2)普段の主な活動

1)早稲田文芸会
2)創作

1)武蔵野大学文学研究部
2)創作、文学散歩

1)大正大学文芸同好会
2)創作

1)東京工業大学文芸部
2)一行リレー小説

1)電気通信大学文芸・文学総合研究会
2)読書会、創作・批評会

1)中央大学文学会
2)創作、研究会、文化祭で作家を呼んでの講演会

1)国士舘大学文芸部
2)創作、批評

1)筑波文学の会
2)創作

1)筑波大学ミステリー研究会
2)批評会、上映会、創作

1)ロスチャイルズ!! 明治学院大学第二文芸部
2)批評会、創作

1)慶應ペンクラブ
2)創作、総会、合宿

1)早稲田大学教育学部国語国文学会創作部会
2)小説・文芸創作、発表会、勉強会

1)明治大学ミステリ研究会
2)ミステリの読書会、創作、他大との交流会

1)東京大学文学研究会
2)読書会、テーマを決めた文章会

1)早稲田大学児童文学研究会
2)文芸、評論、絵本、詩、読み聞かせのパートに分かれて活動

1)早稲田大学文芸創作会ことのは
2)読書会、合評会

1)成城大学文学研究会
2)勉強会、読書会、合宿

1)筑波大文妄
2)普段はアマチュア無線部

1)東京学芸大学現代文化研究会
2)サブカルチャー評論

1)東京理科大学読書クラブ
2)課題本を決めた読書会、創作活動

1)北九州書房(北九州市立大学OB)
2)創作

1)慶應義塾大学SF研究会
2)テーマを決めて読書会

1)学習院大学表象文化研究会
2)自主ゼミ、他大学との勉強会、論文作成

1)法政文芸(学術団体)
2)法政大学文学部日本文学科の有志で文芸誌を作成

1)慶應三田文學塾生会
2)読書会、創作セミナー、品評会
1)立教大学文芸思想研究会
2)読書会、勉強会、作品の批評会

1)東京理科大学野田文芸サークルClock
2)創作、創作の批評会

1)立教大学ポストモダン研究会
2)読書会、冊子作り

1)名古屋大学SF研究会
2)読書会

1)東京農工大学文芸部
2)読書会、創作・批評会

1)白百合女子大学文芸部
2)文学談義、映画鑑賞会

書き手の方にお話を伺ったり、色々な文学に触れたり、1日中楽しく過ごすことができるイベントでした。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

次回の文学フリマは11月3日(木・祝)です。
書き手として表現したい方、新しい文学との出会いを期待する方も、ぜひ足をお運びください。(杉山)

<関連リンク>
文学フリマ
早稲田文学編集室
[カリブロ]カーリルと早稲田文学のコラボが決定!

図書館でお酒が飲める?! ”図書館Bar”に行ってみた☆

図書館では静かに。
図書館は飲食禁止です。
周りの方の迷惑にならないよう行動しましょう。

それが常識だと思っていました。
そうやって言い聞かされてきたんです。
ましてや図書館でお酒を飲むだなんて。。
私たち(?)の常識を覆す”図書館Bar”にお邪魔してきました!
 * * *
”図書館Bar”を開催するのは、千葉県船橋市にあるNPOが運営する「船橋北口図書館」
船橋駅から徒歩3分、静かな住宅街の一角にあります。

道路に面した入り口の扉はガラス張りで、中がすっかり見渡せます。
入ると左手に受付があり、スタッフさんが笑顔でお出迎え。
8畳ほどの長方形の室内の二面には天井まで達するほどの本棚が備え付けられており、本棚一杯にぎっしり本が並んでいます。
部屋の一角にはハリーポッターや仕掛け絵本が閲覧できる児童書コーナーも。
窓際には低めの本棚が備え付けられており、その上には絵本などが飾られていました。

壁一面の本棚

仕掛け絵本が見られる児童書コーナー


窓際の本棚はに新書がいっぱい


図書館の写真入りオリジナルしおり

小さくても暖かくて心休まる素敵な図書館です。
そんな素敵な図書館の素敵なイベントが「図書館Bar」。
なんと、図書館で楽しくおしゃべりしながらお酒を飲もうというのです。
いいのでしょうか・・・怒られやしないかドキドキしてしまいます。
今回のテーマは「ネパール」ということで、図書館もネパール風におしゃれをしました。

入り口にネパールの国旗がずらり

どちら様もお気軽にどうぞ!


いつもの本棚もネパール風に
外はあいにくの雨模様でしたが、ご機嫌なネパール音楽をかけて中央のテーブルにネパール料理とお酒を並べていきます。
図書館の中が着々とBarになっていくのが楽しくて仕方ありません。
あらかた準備ができて人も集まったところで乾杯☆
大人のBarタイムがスタートです。

残念ながらネパール人の料理人さんがこられなくなってしまったそうなのですが、ネパールカレーにナン、スタッフ石田さん手作りのタンドリーチキン、豆のサラダにモモ(ネパール風餃子)も並んで雰囲気たっぷりです。
3種類のカレー

豆のサラダ


ネパール風餃子「モモ」

(本当は丸い形なんだそうです)

タンドリーチキン

”図書館Bar”に集まったのは、普段から図書館を利用している人はもちろん、あまり本は読まないけれど飲むのが好きな人、ご近所さん、何となく誘われた友人と様々。
今回は20〜30代が中心でしたが、普段は〜60代の方まで参加なさるそうです。
地域の中でほっと一息つける「居場所」としても親しまれているんですね。
中盤には、ネパールに関する三択クイズが出題されて盛り上がりました。
ネパールの首都は? 女性の初婚年齢は? 「パニ」はどういう意味? などなど。
(「パニ」は「水」という意味なんだとか。)

クイズを出題する石田さん(左)と安藤さん(右)

答える時は目を閉じて。間違えたら座ります

楽しい時間はあっという間に過ぎていくもので、気づけば何時間も経って外は真っ暗になっていました。


まったり過ごす皆さん

最後に、図書館を運営するNPO法人情報ステーション代表の岡直樹さんにお話を伺いました。
はじめは地域活性を目的として活動していたんです。
船橋市のPRやイベントをやっているうちに、駅前のテナントに空きスペースがあるから何かやらないかと声をかけてもらって、考えているうちに「図書館が欲しい」と思うようになりました。
実は大学に片道2時間近くかけて通っており、電車の中で本を読みたいと思っていたのですが、大学の図書館は理系の専門書ばかり。地元の図書館に行こうにも、帰ってくるともう閉館していて借りられない。
朝のちょっとした時間や帰宅した際にすぐに借りられる場所があったら便利だなと。

そうして、地域の皆さんに本の寄付を募って、ボランティアの方と一緒に5年前に始めたのがふなばし駅前図書館(注)です。
開設当初は通勤・通学の際の貸出・返却を想定していたのですが、それ以外にも買い物ついでの主婦の方や、近所のお年寄りの方もたくさん利用してくださるようになりました。
最近では本を借りるでもなく、ちょっと寄って話をしていくという方も増えて来ました。
地域の方が立ち寄れる場所を作って地域活性化していきたいというのがNPO活動の一番最初のきっかけなので、皆さんがそうやって使ってくださるのが嬉しいです。

これからも、地域の中の小さな図書館をもっとたくさん増やしていき、町づくりのきっかけにしてもらいたい。と熱く語ってくださいました。
実は岡さん、カーリルで「NPOの図書館の本」というレシピを作ったり、カーリルバッグを普段からご愛用くださっているカーリルファンさんでした。(取材に行って知りました)
ありがとうございます!
記念にバッグと一緒にパチリと一枚撮らせて頂きました。
民間図書館の蔵書はweb上での検索も可能です
カーリルでも今後対応したいと思いますので、お楽しみに。
(注)今回図書館Barが開催された船橋北口図書館の他に、ふなばし駅前図書館柏井町のおいしい図書館ちばぎんざ図書館など。5月には京都にも図書館を新規開設し、現在7館を運営。
 * * *

今回はあいにくの雨で参加者が少なかったですが、多い時は20名をこえて座れないほどの人気の”図書館Bar”、次回開催は6月25日(土)の予定とのこと。

どんなテーマになるのかはお楽しみ♪
詳細は決まり次第ブログにアップされますので要チェックです。
(船橋北口図書館以外でも、色んなイベントがあります!)
図書館でお酒を飲んでみたい方、ぜひ一度ご参加なさってはいかがでしょうか?
<関連リンク>