「こうとけんさく」の運用を開始しました

日本最大の図書館蔵書検索サイト「カーリル」を運営する株式会社カーリル(所在地・岐阜県中津川市、代表取締役・吉本龍司)は、埼玉県内の高等学校と特別支援学校に勤める教職員・学校司書で構成している研究団体「埼玉県高等学校図書館研究会」と2020年6月12日に「連携・協力に関する協定」を締結し、図書館の新たなサービスに関する技術開発について連携を進めてまいりました。

その最初の成果として、新しい蔵書検索システム「こうとけんさく」の正式運用を、2020年10月22日から開始しました。本システムの稼働により、高校間資料相互貸借の一層の充実による手厚い授業支援や生徒教職員の読書ニーズへの迅速な対応など、埼玉県内高校図書館のサービス水準向上が期待されます。

「こうとけんさく」は、インターネットを活用して埼玉県内の高等学校図書館の蔵書を横断的に検索するシステムであり、発表時点で、141校310万冊を超える蔵書の検索が可能です。本システムは一般には公開されませんが、カーリルでは、このサービスの運用により得られた汎用的な知見や効率的な運用方法などについて広く公開していく方針です。

検索画面例(一部の所蔵のみ表示しています)

書誌を統合しない総合目録

このサービスは、カーリル提供する業務用の横断検索API「Unitrad API」と、「COVID-19 : 学校図書館支援プログラム」でも活用されている簡易的な蔵書検索技術を組み合わせて構築されました。学校図書館が総合目録(複数の図書館の資料を統合的に検索すること)を運用する場合、各学校からデータを集めて統合したうえで、ひとつのWeb-OPACに登録する方法が一般的でした。このような場合には、資料コード(資料に貼付されたバーコード)や書誌コード、あるいは書誌データそのものの運用を全体で調整したり、統一する必要があります。そのため、導入にあたっての合意形成が負担となったり、システムが大規模化することにより、高コストになることがありました。

カーリルでは、これらの課題を解決するために、マイクロサービスアーキテクチャを採用しました。データを集めることは変わりませんが、各図書館の蔵書データを事前に統合せず、内部的に学校ごとに個別の検索サービスを立ち上げたうえで、検索時には横断検索の結果をリアルタイムに統合します。この設計は一見無駄が多いように見えますが、並列性が向上し、複数のサーバーで分散して処理することができるため、高速に検索できます。

埼玉県立図書館などWeb-OPACを一般公開している図書館は、そのままWeb-OPACとの横断検索として動作するため、データを受け渡したり内部的な検索サービスの立ち上げる必要はありません。今後は、学校図書館でもWeb-OPACの公開が進むことも考えられますが、そのような変化にも柔軟に対応することができるようになりました。

データ更新は、内部的には新しい検索サービスを立ちあげ、横断検索先を切り替えるオペレーションにより実現しています。これによりいつでもデータ更新できるようになり、もちろんダウンタイムはありません。運用性の検証はこれからとなりますが、運用コストの大幅な削減を見込んでいます。

★本リリース作成にあたっては、埼玉県高等学校図書館研究会の発表を引用・抜粋させていただきました。あわせてご確認ください。

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学校図書館の検索のイマ!(パート2)
2020-11-05(木) 10:30