しかし、二次利用やデータ公開が公益社団法人である日本図書館協会により大幅に制限されており、検索精度の向上や様々な分野での図書館データベース活用の大きな障害となっています。また、カーリルのような新しい事業者には多額のライセンス料とデータの再配布を制限する契約を要求する一方、従来からNDCを活用している事業者はライセンス料を一切負担していません。このような運用は公益社団法人としてふさわしいものではありません。
NDCは公共性の極めて高いプロトコルであり、だれでも、いつでも活用できるようにするべきです。これまでカーリルでは日本図書館協会に対して再三にわたりオープンデータ化を要請してまいりましたが未だ実現しておりません。現在、図書館関係者有志によりNDCのオープンデータ化に向けた署名活動が始まっており、当社もこれを全面的に支持します。
NDCは有償でライセンスされているのですか? (2015年9月22日追記)
日本図書館協会はNDCのデジタルデータをライセンス販売しています。これをMRDFといいます。NDC第9版のデジタルデータ版であるMRDF9は図書館40万円(税別)、企業100万円(税別)とされています。カーリルでは、契約書のひな型の提供の受け、契約に向けて検討しましたが、図書館と企業の基準や、許諾範囲などに曖昧な点が多く契約締結には至っておりません。
多くの図書館のウェブサイトでNDCを活用したサービスが公開されていますが? (2015年9月22日追記)
ライセンス契約を締結したうえで、別途日本図書館協会が許諾した場合は掲載することができるとされています。そのため基本的には各図書館がライセンス料を負担した上で、別途許諾を受けていると考えられます。例えば市川市立図書館や、高知県立図書館、京都府立図書館など一部の図書館ではNDCを活用した絞り込み検索が可能です。しかし一般的に図書館に対しては「第三次区分表」までしかウェブに掲載することはできないとの見解が示されており、これにより多くの図書館システムでは分類検索の選択肢が第三次区分表までしか選択支援機能をサポートしていません。
また、ライセンス契約を締結していない図書館はOPACの書誌ページ等に分類記号は表示できても、それがとういう意味であるかを示すことができません。
ライセンス契約し、許諾を受ければいいのでは? (2015年9月22日追記)
カーリルが内部的に利用するだけではあればその通りです。
今後、各図書館が自らの所蔵データや書誌データ、あるいは配架図などのデータをオープンデータとして活用する際、これらのデータと密接に関わるNDCが必須となります。しかしNDCのライセンス契約は利用者ごとに締結しなければならないため、図書館の公開するオープンデータの活用が大幅に制限されることになります。これらのオープンデータは、もちろんカーリルだけではなく個人や法人、営利目的や非営利目的にかかわらず自由に利用できるようにするべきです。なお2014年10月時点で、”MRDF9のライセンス契約を締結した民間企業はこれまでにない”との見解を日本図書館協会より伺っております。
契約書案とはどういうものですか? (2015年10月16日追記)
日本図書館協会により2014年11月に提供いただいた契約書案では、適用範囲がNDC・MRDF9となっており、二次著作物は有償では頒布できない。無償の場合は承認が必要である旨の記述がございます。
図書館でNDCに基づき本を配置するのにライセンスが必要ですか? (2015年10月16日追記)
ライセンス販売されているのはあくまでMRDFと呼ばれるデジタルデータです。NDCにより分類された書誌などのデータはこの範囲ではありません。そのため、図書館での本をNDCに基づき配置することには一切制限はありません。NDCを解釈するためのデータ集合としてNDCを扱う場合に、ライセンスの不明確さが問題となります。
一部記載内容の訂正について(2015/9/22 17:40)
ブログ発表時、日本図書館協会を公益財団法人と記載しておりましたが、公益社団法人の誤りでした。現在は該当箇所を訂正しております。