共同保存図書館・多摩との共同研究に取り組みます

カーリルとNPO法人 共同保存図書館・多摩(多摩デポ)は10月29日、共同研究の協定を締結しました。

多摩デポでは公立図書館が処分する本の中から、多摩地域で1冊だけは残して保存し、地域の図書館を通じて提供する仕組みづくりをすすめています。そのためには、どの本が最後の一冊なのかを調査したり、実態を把握する必要がありました。

しかし、多摩地区にある本は膨大なため、手作業による調査は難しい状況でした。今後、こういった調査にカーリルのデータを活用するなど、様々な共同研究を進めていきます。
多摩デポはとてもオープンに組織が運営されており、この協定に至った経緯についても議事録がすべて公開されています。カーリルでも成果を積極的に公開していきたいと考えています。

多摩デポ理事長 座間さんとカーリルの吉本/協定の締結

カーリルが図書館・電子書籍サービスとの連携を開始しました

公立図書館での電子書籍の導入が少しずつ進んでいます。現在のところ、多くの図書館では、紙の本を扱う図書館システムとは別にシステムが運用されており、本を紐付けるISBNなどの書誌情報の整備も進んでいないため、検索しにくい状況でした。

カーリルでは、これらのデータを独自に集約し、使いやすい形のデータを整備する取り組みを開始しました。また、このデータを活用した電子書籍サービスとの連携を開始しました。

ユーザーは、これまでとまったく同じ使い方でご利用いただくことができ、該当する本が電子書籍として所蔵されている場合は、「蔵書あり」と表示されます。「予約する」ボタンから電子書籍サービスに簡単にアクセスすることができます。
今回の連携では、ISBNがある本の電子版のみの対応となりますが、今後ISBNのない本についても対応方法を検討していきます。

↑ 電子書籍が該当した場合の表示例

また、カーリルの提供している図書館APIも標準で対応するため、500を超えるカーリルAPI連携アプリやブラウザ拡張ツールも電子書籍に対応することとなります。

現在電子書籍を提供している図書館は29館といわれていますが、現在は、そのうちの22館に対応しています。今後は対応図書館の拡大を目指すとともに、より低コストに情報の流通性を高める方法について、電子図書館サービスの関連事業者との調整を進めていきます。

公立図書館で提供されている電子書籍

整備したデータをもとに統計データを作成しました。調査対象となったすべての図書館をあわせると、オールアバウトによる記事コンテンツが全体の40パーセントを超えており、図書館によってはオールアバウト以外のタイトルが1パーセント以下となる例もありました。また、青空文庫やグーテンベルク21など著作権切れの書籍のデジタル版や、著作権切れ書籍を底本とした翻訳やオーディオブックが多く所蔵されていることがわかりました。一方で、それ以外のコンテンツの提供・導入についてはなかなか進んでいない実態も分かってきました。

商用コンテンツ(便宜上、地域資料・オールアバウト・グーテンベルク21・青空文庫を除いたものとして定義)では、86パーセントのタイトルでISBNを持つ底本(元となった紙の本か雑誌)が存在していました。8113タイトル中、7010タイトルはISBNが紐付いたことになります。これらのタイトルの中には、新しい版があるにもかかわらず、古い版が所蔵されているケースも多く見られました。

ISBNに紐付かない1103タイトルのうち、512タイトルは、雑誌やオーディオブックなど、もともとISBNを持たないもののAmazon等では従来より流通しているコンテンツでした。さらに残りの591件は、雑誌記事を分割して電子書籍化したもの、市場に流通していないオーディオブック(アルク・パンローリングなど)やBOINTECH社による3D図鑑などがありました。

昨今導入された電子書籍サービスでは著作権処理が容易なコンテンツが、いわば「抱き合わせ」の状態で導入されています。このような実態を無視して、導入図書館数やコンテンツ数のみの評価を続けた場合、一般ユーザーの信頼を損ないかねません。また、DRMの実施主体や契約条件など不明確な点も多く、最終的なユーザー(市民)が置き去りとなっているのではないかと懸念されます。図書館での電子書籍提供は、解決するべき課題や合意形成も多く存在しています。実態を正確に把握した上で議論を進められるよう、本プロジェクトの統計資料を広くオープンデータとして公開することにしました。

調査結果を開く (Google Docs) CC-BY

のべ書誌数ベースの出版社 上位30 (詳しくはこちら)

出版社名 書誌数
株式会社オールアバウト 18000
青空文庫 5000
グーテンベルク21 4103
平凡社 1071
PHP研究所 973
法研 769
すばる舎 504
パンローリング 390
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 365
アルク 291
学研 287
東京リーガルマインド 271
インプレスジャパン 241
東洋経済新報社 226
KADOKAWA / エンターブレイン 179
KADOKAWA / メディアファクトリー 156
研究社 137
Macmillan 135
KADOKAWA / 中経出版 132
株式会社 銀の鈴社 119
丸善 108
朝倉書店 107
岩崎書店 106
ヤック企画 106
KADOKAWA / エンターブレインDMG 88
東京電機大出版局 80
銀の鈴社 79
アメンド(創己塾出版) 69
BOINTECH 62

対応図書館 (2014年10月26日現在)

  • 愛知県大府市
  • 千葉県流山市
  • 愛媛県今治市
  • 岐阜県大垣市
  • 広島県府中市
  • 兵庫県赤穂市
  • 兵庫県小野市
  • 兵庫県三田市
  • 茨城県筑西市
  • 香川県綾川町
  • 三重県志摩市
  • 大分県豊後高田市
  • 大阪府松原市
  • 大阪府堺市
  • 島根県浜田市
  • 栃木県大田原市
  • 栃木県高根沢町
  • 徳島県徳島市
  • 和歌山県有田川町
  • 山口県萩市
  • 山梨県立図書館
  • 山梨県山中湖村

小中学校向け図書館システム「情報BOX」がカーリルと連携しました

全国4500校以上で導入されている小中学校向けの図書館システム「情報BOX」とカーリルの連携を開始しました。

情報BOXのオプション「ライブラリーサーチ」で、カーリルの対応する公立図書館や大学図書館の蔵書をあわせて表示します。カーリルAPIによる連携により、学校図書館で所蔵がない本や、貸出中の本についても近くの公共図書館の蔵書を効率的に確認することができるようになりました。

この機能はライブラリーサーチを導入している学校の生徒・保護者の方であれば、自宅からでもご利用いただけます。ぜひご活用ください。

検索画面の表示例

【プレスリリース】図書館でスマートフォンによる屋内位置情報を活用する実証実験を実施

【2014年9月11日発表-プレスリリース】
カーリルと名古屋大学附属図書館が連携協力協定を締結しました。
図書館でスマートフォンによる屋内位置情報を活用する実証実験を実施します。

株式会社カーリル(所在地:岐阜県中津川市
代表取締役:吉本龍司)と名古屋大学附属図書館(所在地:愛知県名古屋市 図書館長:佐野充)は、名古屋大学附属図書館において、ビーコンデバイス(BLEビーコン)による屋内位置情報を活用した新しい図書館サービスの実証実験を実施します。
 ビーコンデバイスによる屋内位置情報を活用した本格的な図書館サービス(書架ナビゲーションやレファレンス支援機能)は全国初となり、世界的にも新しい取り組みとなります。

開発の背景と目的

 株式会社カーリルは、全国93%以上の図書館(公共図書館において)に対応した図書館蔵書検索サイト「カーリル」を運営しています。現在、アクセスの約60パーセントがスマートフォンやタブレット端末からとなっており、図書館の施設内からの利用が大幅に増加しました。一方で、図書館に行ってもどこに本があるか分かりにくいという声も多く頂いておりました。
 これらの新しいニーズに対応できる図書館サービスとして、屋内位置情報の活用に向けた技術開発を進めてまいりました。今回の実証実験を通して、実際の図書館で書架ナビゲーションなど、屋内位置情報技術の可能性を検証するとともに、名古屋大学附属図書館との相互協力により、図書館のレファレンス機能(利用者向けの資料検索支援)の強化に向けた技術開発を推進します。

実証実験で提供するサービス

 実証実験期間中は、スマートフォンアプリ「カーリル図書館マップ」をインストールすることにより、以下のような機能を体験することができます。これらの機能以外にも、順次様々な機能の提供を予定しています。

1.資料(本や雑誌)の検索と、書架(本棚)までのナビゲーション
 館内案内図に、自分の現在地と、検索した本がある目的地を表示します。

2.入館時、退館時のプッシュ通知
 アプリをインストールした状態で、図書館に入ると、最新のお知らせなどを配信します。図書館から出た際には返却予定日などをお知らせします。

3.図書館ガイダンス支援
 図書館内の主要なスポットに関連する情報を現在場所に合わせて表示します。

-アプリの対応端末
  iPhone 4S/5s/5c、iPad(第3世代以降)/Air/mini(いずれも iOS7.1以上)
  (Android端末については10月下旬以降対応予定)

 
検索結果画面例 館内案内の例

実証実験の開始時期

2014年10月初旬~

ビーコンデバイスの設置場所

名古屋大学附属図書館中央図書館 地下1階、3階 (約130個)
名古屋大学工学図書室(ES総合館1階) (約30個)

ビーコンデバイス(BLEビーコン)について

 Bluetooth® Low Energy(BLE)によるビーコンデバイスはiPhoneのiOS7以降で同技術を採用したiBeacon®が標準搭載されたことで、注目を集めています。この技術によりGPSでは実現できなかった屋内や地下での位置計測が可能となります。電波を一定間隔で送出するビーコンデバイスを施設内に設置し、その電波をスマートフォンから検出することにより位置を把握します。
 今回の実証実験で採用した、株式会社アプリックス社製のビーコンデバイス「MyBeacon® Pro MB004」は、iBeacon licensed technologyを用い、商用利用向けBeaconの必須機能である位置測位の精度向上とスマートフォンのバッテリー消費を抑える通信方式を採用、電子認証によるセキュリティ機能も備えています。
本実証実験では、図書館内に合計160台設置します。

連携協力協定について

 株式会社カーリルと名古屋大学附属図書館は2014年8月7日に、両者が新たな図書館サービス構築に向けて調査研究し、学修・教育・研究の支援を推進して広く地域に貢献することを目的として、連携・協力に関する協定を締結しました。この連携協定の一環として、今回の実証実験に取り組みます。
 名古屋大学附属図書館と株式会社カーリルは、今回の連携協定の締結により、以下の事項について連携・協力を図ります。

1. 新たな図書館サービスに関わる学術研究に関すること。
2. 新たな図書館サービスに関わる技術開発・運用に関すること。
3. 構築された図書館サービスを他機関図書館に活用支援すること。
4. その他、両者が必要と認める事項。

株式会社カーリルについて

社名 株式会社カーリル(2012年6月4日設立)
代表者 代表取締役 吉本 龍司
本社所在地 岐阜県中津川市坂下1645-15
事業内容 図書館に関する技術開発とウェブサービスの提供
本リリースについてご不明な点などございましたらカーリル(担当・ふじた)までお問い合わせください。
電話 0573-67-8105 FAX 0573-75-3462 メール contact@calil.jp
※記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

プレスリリースPDFダウンロード
プレスリリース関連画像のダウンロード
アプリックス社によるプレスリリース(2014年9月11日)

標高の高い図書館に行こう!データで見る図書館シリーズ

木村大作監督の新作映画「春を背負って」が6月12日から公開されました。標高3000メートルでの撮影の苛酷さは想像できません。原作は笹本稜平著の小説「春を背負って」です。

映画とはうってかわって暑い日が続きますが、データをもとに涼しいところにいって、読書をするというのはどうでしょうか。カーリルの図書館データベースとGoogleマップのデータをつないで、全国の図書館の標高リストを作ってみました。

日本で一番高いところにあるのは、筑波大学菅平高原実験センター図書室で、1471メートルでした。ただ、この図書室は研究のための施設で、一般には公開されていません。誰でも訪れやすい図書館ということで、公共図書館・公民館図書室に絞ったベストテンをご紹介します。



1位 南牧村図書館「はしばみ」(長野県)1344メートル
2位 川上村文化センター図書館(長野県)1188メートル
3位 草津町立図書館(群馬県)1183メートル
4位 茅野市図書館泉野分室(長野県)1040メートル
5位 富士河口湖町生涯学習館上九一色分館(山梨県)1031メートル
6位 原村図書館(長野県)1008メートル
7位 南相木村立ふれあい図書館(長野県)1007メートル
8位 山中湖情報創造館(山梨県)1006メートル
9位 茅野市図書館北山分室(長野県)982メートル
10位 高山市図書館高根分館(岐阜県)977メートル

これ以外にも調べればもっと高いところに図書館があるかもしれません。
順次追記していきますので、是非カーリルまで教えてください。

シリーズ「データで読む図書館」、次回の話題は未定ですが、面白い切り口が見つかり次第随時更新していきます。お楽しみに!
今回作成したデータはCC-BYで公開します。