図書館好きにはたまらない! 図書館めぐりのススメ

先月末、図書館好きには嬉しい一冊の本が出版されました。
”近場でなくともわざわざ訪れたくなる図書館”をテーマに、30の図書館を紹介している『TOKYO図書館紀行』です。

図書館の”場”としての魅力を伝えるこの本について、版元である玄光社の勝山さんにお話を伺いました。

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-企画当初は周辺情報も盛り込むつもりでした

『TOKYO図書館紀行』を作ろうと思ったのは、図書印刷クリエイティブセンター&モッシュブックス(編集プロダクション)からの提案がはじまりです。

企画当初はグルメやアート、カルチャーなど図書館の周辺情報も盛り込み、新しい東京散策のひとつとして「図書館へ行こう」を提案する予定でした。

つまり読者ターゲットを「本好き」だけでなく「散策好き」にも拡げ、部数を稼ごうと考えたわけです。

でも、そういった内容にすると図書館自体の魅力が薄れのではないか、その図書館の周辺にどんな素敵なお店があるのか等が図書館を選ぶ基準になってしまうのではないかと。

-「知」の拠点としての図書館に人が集まり始めた

リーマンショックが変えたアメリカの消費を描く「スペンドシフト」というルポがあります。その中でアメリカでは自己防衛のための「学び」が盛んになり、身近な「知」の拠点である大学や図書館に人が集まりはじめ、「アメリカ人はモノよりも知識を蓄えようとしている」と著者は言っています。

一方、日本ではインターネット、携帯電話、スマートフォンなどの普及により活字離れが進み、一部のベストセラーを除き、出版界は地盤沈下を起こしています。

そういった背景から『TOKYO図書館紀行』を企画した次第です。

-本を売る立場の出版社が図書館を紹介することに葛藤も

企画提案を受けた際に、本を売ることがビジネスである出版社が、基本的に無料で本を閲覧できる「図書館」を紹介するのはどうなのか? また、本を売ってもらっている書店に対して「図書館」を薦める本が受け入れられるのか? と感じたことは事実です。

ただ活字離れがすすんでいる昨今、本を買わなくてもいいから活字に触れていてほしい、インクや紙のにおいで脳をシゲキしてほしいという願いから『TOKYO図書館紀行』を出版することに決めました。

-今後も「知」を求めるシリーズを刊行していく

今後も「TOKYO INTELLIGENT TRIP」を冠に、東京近郊の「知」を求める内容のシリーズを3ヶ月に1冊刊行する予定です。

次回は7月刊行で「TOKYO研究所紀行」を予定しております。

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「インターネットや携帯電話だけでなく、たまには紙とインクのにおいで脳を刺激してほしいですね」と、出版社としての願いも込められたこの『TOKYO図書館紀行』、図書館好きならずとも一度は手に取ってみてほしい、素敵な仕上がりです。

散歩のお供に、TOKYO観光のガイドブックとしてぜひ一度ご覧ください。


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