カーリルToolBox : バーコード連番印刷をリリースしました

学校図書館支援プログラムは、学校図書館だけではなく、公民館図書室や専門図書館などでも多く導入いただいています。カーリルでは引き続きサービスの拡充を進めており、継続的に申し込みいただけます。

多くの学校や図書館で活用いただいている一方で、検索サービスを導入したくても図書データが未整備の図書館が多数あることが分かりました。将来的に図書館システムの導入を検討している場合、複本(図書館用語で同じ本が複数ある場合)に対応するため本にバーコードを貼られていると便利です。しかし、バーコードの印刷機能は一般的に図書館システムを導入しないと使うことができないため、図書館システムを導入しないと着手できない状況がありました。(実際には、いろいろな方法でバーコードを印刷することができますが手順が複雑です)

この問題を解決するため、「カーリルToolBox : バーコード連番印刷」を開発しました。このサービスはブラウザだけで動作するため、インターネットにつながる環境とプリンタがあれば、蔵書管理のためのバーコードラベルを簡単に印刷することができます。図書館だけではなく、自宅や会社で図書館と同じようにデータ整備をしてみたい方もご活用いただけます。

バーコード連番印刷の画面

使いかた

カーリルでは現在、オフィスにある本にバーコードを貼り付ける作業を進めています。実際にこの印刷ツールを使ってカーリルオフィスの本にバーコードを貼るまでの手順を見てみたいと思います。

準備したもの

  • バーコードリーダー
    今回は、 BC-BR1000Uを使いました。
    バーコード印刷後に実際に読めるかテストすると安心です
  • ラベル用紙
  • プリンタ
  • ラベルキーパー

ラベル用紙を選ぶ

ラベルによる印刷サイズの比較

主要なラベル用紙に対応していますが、要望があればお知らせください。 今回は、65面の再剥離ラベルを利用しました。このラベルは簡単に剥がすことができるので、自宅などでは便利です。図書館では強粘着ラベルが多く使われます。

プリンタはレーザープリンタが推奨されることが多いのですが、これは滲みが少なくバーコードが読み取りやすいためです。今回は、ビジネスインクジェット(顔料インク)を利用しました。一般的なインクジェットプリンタの場合は、水に弱いため水濡れや経年劣化で滲んでバーコードが読めなくなってしまいます。印刷時の設定はプリンタによって異なりますが、なるべく高画質な設定とするのがおすすめです。

レーダープリンタの場合は品質の低い再生トナーの場合、数年でトナーが剥離してしまうため、長期間利用する場合はあわせてラベルキーパーを利用するのが良さそうです。

バーコードの仕様を決める

蔵書管理のために使われるバーコードには、連続したユニークな番号が使われています。この番号のことを、図書館システムによって図書コードや資料コード、図書番号などいろいろな呼び方で呼んでいます。

重複して番号が振られていなければどのような番号でも図書館システムで管理することができます。学校図書館などでは6桁程度の番号がよく使われているようです。カーリルでは、開始番号を100000~に設定することにしました。学校などでは学校番号を先頭につけることで、地域内で併合などがあっても重複が避けられるようにすることも多いようです。

印刷して貼る

画面左下の印刷ボタンで印刷することができます。枚数を指定してまとめて印刷することをおすすめします。

印刷時に拡大・縮小せずそのまま印刷することに注意

今回利用した粘着力の低い再剥離ラベルの場合、ざらざらした装丁の本では、すぐに剥がれてしまいました。このような場合は、再剥離を諦めてラベルキーパーを活用しました。

ラベルを貼った本

所蔵データを整備する

ここまでの作業が完了すると、エクセルなどを活用して「図書コード」と「ISBN」のデータを整備することで最低限の所蔵データを整備することができるようになります。このデータを 学校図書館支援プログラムにお送りいただくことで、検索サービスを立ち上げることができます。この手順については、”カーリル図書館”の整備状況とあわせてブログ記事にて紹介する予定です!

あくまでこのツールでは、バーコードを印刷するだけなので、このあと、所蔵データをエクセルなどで整備したり、図書館システムを導入することでさらにサービスを拡張することができます。(すでに将来的に導入する図書館システムが決まっている場合は、バーコードの仕様が問題ないか念のため確認することをおすすめします)

オープンソースで公開します

カーリルでは今回開発した、 「カーリルToolBox : バーコード連番印刷」オープンソースで公開しています。自由にカスタマイズしたり、システムに組み込んで活用することもできます。要望がありましたら是非カーリルにお知らせください!

Internet Explorer 11への消極的対応について

カーリルでは、2021年8月以降に順次 Internet Explorer 11 (IE 11) のサポートを終了することを決定しました。IE11を引き続き利用することができますが、一部の機能が制限されたり、他のブラウザと見た目が違うことがあるかもしれません。これをIE11への消極的対応といいます。ご不便をおかけしますが、早急に新しいブラウザに移行していただくようお願いいたします。カーリル利用者のうち約5.9%がこの影響を受ける見込みです。

IE11のサポート終了スケジュール


カーリルでは、より幅広い利用者に使っていただけるよう、古いブラウザにも積極的に対応してきました。しかし、IE11はマイクロソフトのクラウドサービスでもサポートの終了がアナウンスされており、多くのウェブサービスが2021年中にサポートを終了する予定です。これにより、カーリル以外の多くのウェブサービスの利用が制限されます。

問題が複雑なのは、現時点でIE11を利用している皆様の多くが、自らの意思ではブラウザを選択できない環境にあることです。私たちが以前IE6のサポートを終了した際には、図書館内の公開端末や、学校内に設置されたコンピュータからカーリルにアクセスできなくなったという問い合わせを数多くいただきました。特に図書館においては、予算の制約により、古いコンピュータを使い続ける以外に方法がないという事例もありましたが、多くは、新しいブラウザが利用できる環境であるにもかかわらず、端末管理システムや図書館システムの動作環境の制限(図書館側の一方的な事情)により、古いバージョンのブラウザの利用を強制されているという相談でした。

このような状況を踏まえて、カーリルでは(以前のIEサポート終了と比べて)ゆっくりとIE11のサポートを終了していくことにしました。最低限の検索機能については2023年1月末までサポートを継続します。そのほかのカーリルの機能(読みたいリストやカーリルレシピなど)は、 2021年8月以降は消極的対応に方針を切り替えます。また、2021年8月以降に提供する新たなサービスではIE11に対応しません。

図書館のシステム担当者の方へ

情報へのアクセスを制約することになるため、図書館の公開端末や業務端末での「IE11の強制」はただちに廃止するべきです。公共図書館における一般的な調達サイクルである60か月後には、すでにIE11のサポートそのものが終了するため、新しい端末やシステムを導入する場合にはIE11を利用するべきではありません。カーリルでは、図書館業務向けのAPIを提供しています。残念ながら、このサービスのユーザーは特にIE11が多い傾向にあるため、さらに長い消極的対応期間を設定しました。ただし、2023年1月以降に新たに提供する提供先に対しては、IE11へのサポートは提供しません。

サポートを終了予定の具体的機能(随時更新・2021年11月26日最終更新)

  • カーリルレシピの編集機能
    機能改善に伴いサポートの維持が困難であるため2021年8月以降サポート終了予定→2021年11月26日以降はIE11では編集できなくなりました
  • カーリルローカル
    最新版ブラウザでの速度向上を図るため、2021年11月26日以降にWindows10より古いバージョンのOSで動作するIE11では動作しなくなりました

カーリルをご利用のみなさまへのお願い

カーリルにしばらくアクセスしていないユーザーは2021年1月1日以降にログアウトしたり図書館の設定がリセットされる可能性があります。設定を維持するために、12月中にカーリルにアクセスしてください。お手数をおけしますが、ご協力をよろしくお願いします。

なぜ問題が発生するの?

この問題はブラウザに保存された「クッキー」の有効期限切れにより発生します。カーリルは2010年にサービスを開始しました。このとき、「クッキー」の有効期限は10年後の2020年12月31日にハードコーディング(プログラムに直接記述)されました。私たちは、今年の3月にこの問題に気が付きましたが、アップデートの適用が遅れたため、多くのユーザーが影響を受けることになりました。

カーリルの対応は?

この問題に対応するためセッション管理メカニズム(ログイン状態や図書館の設定を安全に保存する仕組み)をアップデートしました。これにより、将来のセキュリティリスクも軽減されます。

どうしたらいいの?

カーリルをご利用のユーザーは、12月中にカーリルにアクセスしてください。最新のセッション管理メカニズムに自動的に移行され、「クッキー」の有効期限も延長されます。

12月中にアクセスしなかった場合はどうなるの?

アカウントが削除されることはありませんのでご安心ください。図書館の設定はログインすることで復元されますが、ログインせずに利用している場合には、改めて図書館の設定が必要となります。お手数をおかけすることをお詫びいたします。


ユーザーの皆様にはお手数をおかけしますが、引き続き、安定的なサービス提供に努めてまいりますので、ご協力を宜しくお願いします。

図書館総合展_ONLINEへのご参加ありがとうございました

11月末までの会期で開催された、国内最大の図書館に関する展示会「図書館総合展」では、多くのご参加をいただき誠にありがとうございました。

オンラインでの展示会開催は、私たちにとっても初めての取り組みであり、新しい体験をすることができました。今回出来たこと、出来なかったことをしっかり整理して、次に繋げていきたいと思っています。ご感想などもお寄せいただければ嬉しいです。カーリルでは、フォーラムの録画配信も行っていますので、ぜひご覧ください。また、カーリルブース ONLINEでは多数の方にお申込みいただきましてありがとうございました。

カーリルでは、引き続き、「図書館をもっと楽しく!」をテーマに技術開発に取り組んでいきます。

数字で振り返る図書館総合展_ONLINE

  • イベントの申し込み 798名(のべ1213件)
  • アーカイブ動画の再生回数 768回
  • ニュースレターの登録数 724名
  • カーリル Happy Shopの注文件数(無料配布も含む)450件
  • カーリルブース ONLINE(zoomミーティング)の件数 16件
  • 期間中に配布した、「カーリル いまやっていることリスト#3」 1480部

Web-OPAC(蔵書検索システム)の評価手法を検討するワーキンググループを立ち上げます

カーリルと次世代の図書館システムを開発する「Project Next-L」では、OPAC(蔵書検索システム)の評価手法を検討するワーキンググループを立ち上げます。このワーキンググループでは、図書館向けの蔵書検索システムの評価手法について実践的な検討と可視化ツールの開発を進めます。

各図書館が提供しているWeb-OPACの品質は、図書館が作成した書誌データと検索システムの設計や実装に依存するため、客観的な評価が難しいのが現状です。また、ミドルウェアのアップデートにより、内部仕様が変更された結果、一部の書誌が検索できなくなるなどの運用障害もたびたび発生しています。

ワーキンググループでは、評価用の書誌データセットと、クエリおよび正解データを整備することにより、検索システムの「評価」と「テスト」の自動化に取り組みます。また、これまで感覚的だったシステム間での検索結果の違いを可視化することで、容易に比較できるようにします。

当面は、カーリルが開発する「COVID-19 : 学校図書館支援プログラム」向けの検索システムと、「Next-L Enju」の検索結果を用いて評価ツールの設計を進める予定です。カーリルでは、開発した評価ツールを開発過程の自動プロセスに組み込むことで、製品の性能を継続的に維持、向上することを目指しています。

長期的にはこれらのデータセットや評価ツールが、システム調達時の性能評価の指標として活用されることに期待しています。このプロジェクトは、オープンソースプロジェクトとして進められるため、誰でも開発に参加することができます。グループでのコミュニケーションは、Code4Lib JAPANのSlackチャンネル「#opac」にて進めます。このプロジェクトに興味があるシステム開発企業や図書館の方はぜひご参加ください。

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