既存の図書館システムとは大きく異なる開発組織、自治体を横断する検索機能、超短期間の開発、Twitterなどによるユーザー参加型の開発はどのように実現されたのか。
それらのヒントになるような情報をまとめた論文を雑誌「専門図書館」に寄稿しました。その論文をPDFで公開しましたので、お知らせします。
目次
1. はじめに
2. 開発の背景
3. 楽しい図書館検索システムの提案
3.1 本と出会う楽しみを提供
3.2 検索を使って図書館を広報する
3.3 地域資源の中心地としての図書館
3.4 図書館にない本も検索
3.5 外部サービスと連携して利便性を高める
4. 開発手法
4.1 開発チームの構成
4.2 開発期間とモチベーション
4.3 ユーザーフィードバックに基づく修正
5. カーリルのシステム
5.1 マッシュアップの活用
5.2 開発言語
5.3 分散処理
5.4 図書館クラス
5.5 OPACの管理
5.6 図書館APIによる図書館システムの拡張
5.7 図書館APIの利用例
6. 課題
6.1 技術的課題
6.2 ビジネスモデルの模索
6.3 対応図書館の拡大
7. おわりに
…GoogleやAmazonなどの大規模な検索エンジンが一般に普及する中で、図書館システムも大きな曲がり角を迎えている。GoogleやAmazonは検索対象となる情報量が膨大であるだけでなく、高速であることや、検索結果の並び方が秀逸であること、利用方法がシンプルであることなど、それまでの検索エンジンの常識を覆し、広く一般に普及し、検索という行為を「日常的な行為」にまで落とし込むことに成功した。これに対して、日本の公共図書館システムは、規模、速度、精度、操作性において劣っていると言わざるを得ない。公共的な資金を毎年何十億という規模でつぎ込んでいる日本の公共図書館システムはなぜ対抗できないのだろうか。
本稿では、我々が日本の公共図書館システムのレベルアップも視野に入れて2010年3月に公開した日本最大級の図書館蔵書検索サイト「カーリル」 (http://calil.jp/)について紹介する。….
本稿は専門図書館協議会発行機関誌「専門図書館」242号(2010年7月号)に掲載されたものです。
さらに開発技法に興味のある方は、以下の書籍をあわせて読むとより理解が深まります。